企業グループに関する税制改正
政権交代後はじめての税制改正として注目されていた平成22年度税制改正大綱が、当初予定より大幅に遅れ、来週まとまる見通しとなりました。環境税や扶養控除ばかりが話題になっていましたが、今回の改正では企業グループにとって非常に影響の大きい項目が含まれています。
今回のFAX NEWSはこの企業グループに関する税制改正についてお知らせします。
グループ法人税制の創設
イ) 概要
グループ法人税制は、企業グループの一体的経営が進展しているという現状を踏まえて、グループ全体を一体として課税関係をとらえようとするものです。このような企業グループに関する税制としては連結納税制度がありますが、今回のグループ法人税制はグループ内取引で発生した一定の損益を繰延べるものの、グループ間の所得通算まではせずに、単体納税を維持するという点で、連結納税制度より一体化の度合いが緩やかな制度といえます。
ロ) グループの範囲
100%支配関係がある法人間です。また、連結納税制度とは異なり、要件を満たす全ての企業グループについて強制的に適用されます。
ハ) グループ法人間取引
グループ内で一定規模の資産の譲渡があった場合、資産がグループ外へ出るまで譲渡損益を繰り延べます。また、子会社から親会社へ配当する場合、従来は受取配当等の益金不算入額の計算上、負債利子相当分が除外されその分課税対象となっていましたが、グループ法人税制では連結納税制度同様に全額益金不算入となります。
ニ) 適用年度
平成22年4月1日以後開始事業年度から適用されますが、譲渡損益の繰延などには、一定の経過規定が置かれる見込みです。
連結納税制度の改正
連結納税制度では、連結子法人の欠損金の持ち込み制限が、制度普及の大きな足かせとなってしまっている点を考慮して、一定の要件の下に緩和することになりました。具体的には、子会社が持ち込んだ欠損金は、その子会社の連結後の所得の範囲内で利用できるというものです。したがって、持ち込んだ欠損金と他の子会社の所得を通算することはできません。
これからは、企業グループに関しては上記の連結納税制度、グループ法人税制そして組織再編税制の知識なくしては的確なタックスプランニングはできません。連結納税制度では、欠損金の持ち込み制限という最大のデメリットがなくなった以上、少なくとも導入の検討まではしなければならなくなったと言えます。来週、公表される見込みの税制改正大綱の具体的な内容を含め、今後の税制改正の行方が注目されます。
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