電子帳簿保存法改正

投稿日2021.03.18

令和3年度税制改正では、DX関連項目の改正に重点が置かれています。
中でも電子帳簿保存法の改正は十数年分に匹敵するとも言われるほど大きな改正になっています。
今回は、要件が大きく緩和され使い勝手が良くなった電子帳簿保存法改正についてお伝えします。

概要

電子帳簿保存法は、大きく分けて下記の3種類について規定しています。
(1)電磁的記録(勘定奉行データのように最初の記録段階から電子計算機で作成したもの) 
(2)スキャナ保存(紙で受領した領収書などをスキャナで読み込んだもの) 
(3)電子取引(紙を介さず電子データのみで完結する取引)

電磁的記録

(1)事前承認制度の廃止:これまで開始3ヶ月前までに申請する必要があり導入のネックとなっていましたが、申請不要となり、令和4年1月1日以降はいつでも要件を満たせば電子保存ができるようになります。

(2)保存システムの簡素化:システム概要書を備え付けること、速やかにディスプレイに出力できること、税務調査の際にダウンロードの求めに応じることなどの要件を満たせば従来のような厳格なシステムがなくても電子帳簿として認められるようになります。

スキャナ保存

今回の改正の大きな目玉がこのスキャナ保存の要件緩和です。
電子帳簿保存法が広がらなかった要因を下記の通り大きく取り払いました。

(1)上記2.同様に事前申請が不要になります。
(2)これまで入力時の相互牽制のために出勤する必要がある、紙原本を一定期間保存する必要があるなどの不便がありましたが、 一人でデータ化しすぐに原本廃棄することが可能となります。
これにより、在宅勤務拡大や書類保管場所の縮小などが期待されます。

電子取引

電子取引のデータ保存は逆に厳しくなります。
これまで紙に出力して保存することが認められましたが、改正によりすべての取引データにタイムスタンプ付与など一定の要件を満たす方法で保存しなければならなくなります。
電子メールに添付された請求書をプリントアウトして保存するなどしていた場合は来年以降対応が必要となります。

上記のように電子帳簿保存のハードルを下げる一方で、電子データに対しては税務調査時にデータダウンロードを求める、不正があった場合の罰則を強化するなど事後的な規制を厳しくするといった側面もあります。

DXの流れは急激に進んでいます。今後の情報にもご留意ください。

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