建物火災保険の補償範囲を確認してみましょう
令和8年8月13日からの記録的な大雨により、千葉県では河川の氾濫や市街地の浸水、土砂災害などが発生し、多くの住宅が被害を受けました。このような災害が起きたとき、「火災保険という名前だから、水害には使えない」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
現在の火災保険は、火災だけでなく、風災、水災、水濡れ、盗難など、建物を取り巻くさまざまな事故を補償する総合型の商品が一般的です。ただし、契約内容によって補償範囲は異なります。
今回は、建物火災保険の補償範囲について確認してみることにします。
建物火災保険の補償範囲
【主に補償対象となる損害】
一般的な建物火災保険では、次のような偶然な事故が補償対象となります。
・火災、落雷、破裂・爆発
・台風や強風による屋根・外壁等の損害(風災)
・ひょうや大雪による損害(ひょう災・雪災)
・給排水設備の事故や他室からの漏水による水濡れ
・車両の衝突(車庫等の破損)、物体の落下・飛来
・盗難に伴う建物の損傷
・洪水、内水氾濫、高潮、土砂崩れ等による損害(水災)
ただし、水災、盗難、破損・汚損などは、契約時に補償から外せる商品もあります。また、「建物のみ」の契約では、家具、家電製品などの家財は補償されません。建物と家財は、それぞれ別の保険対象として契約する必要があります。
【主に補償対象外となる損害】
次のような損害は、一般的な火災保険では補償対象外となります。
・地震、噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・流失
・経年劣化、腐食、さび、カビ、通常の消耗
・施工不良や設計上の欠陥そのもの
・故意または重大な過失による損害
・戦争、暴動、核燃料物質等による損害
・事故によらない雨漏りや、長期間かけて進行した漏水被害
地震等による損害に備えるには、住宅用建物の場合、火災保険とセットで地震保険に加入する必要があります。なお、実際の対象・対象外は商品や特約によって異なるため、保険証券だけでなく、補償内容が記載された契約概要や約款も確認することが大切です。
千葉豪雨による被害は補償されるのか
今回の千葉豪雨では、河川の氾濫のほか、短時間に大量の雨が降り、下水道や排水施設の処理能力を超えて道路や住宅地に水があふれる「内水氾濫」も発生しました。河川の氾濫、内水氾濫、高潮、土砂崩れなどによる建物の損害は、原則として火災保険の「水災補償」の対象となり得ます。ただし、次の点に注意が必要です。
・契約に水災補償が付いていること
・床上浸水、地盤面から一定の高さを超える浸水、または一定割合以上の損害など、契約所定の支払条件を満たすこと
・建物の損害は建物の保険、家財の損害は家財の保険に加入していること
・免責金額(自己負担額)や支払限度額が設定されている場合があること
例えば、床上まで浸水して壁、床、建具、設備機器等が損傷した場合は、建物の水災補償の対象となる可能性があります。一方、床下浸水にとどまり建物に所定の損害が生じていない場合や、水災補償を外している契約では、保険金が支払われないことがあります。
また、豪雨の際に雨風で屋根が壊れ、その破損箇所から雨水が入り込んだ場合は「風災」として検討されますが、老朽化した屋根から単に雨漏りした場合は対象外となるのが一般的です。同じ大雨による被害でも、損害の直接の原因によって適用される補償が異なります。
被害を受けた場合には、片付けや修理を始める前に、建物全体、浸水の高さ、損傷箇所、壊れた設備等を写真や動画で記録し、早めに保険会社または代理店へ連絡することが重要です。緊急性のない本格修理は、保険会社による確認を受けてから実施した方がよいでしょう。
まとめ
火災保険は「火事だけの保険」ではありません。しかし、すべての自然災害や漏水事故が自動的に補償されるわけでもありません。特に水災補償の有無、保険対象が建物か家財か、免責金額や支払条件は、契約によって大きく異なります。
今回の千葉豪雨を機に、保険証券や契約内容を確認し、建物の所在地における洪水、内水氾濫、高潮、土砂災害等のリスクに補償内容が合っているか、改めて点検してみてはいかがでしょうか。
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