新リース会計基準における借手の会計処理

「リースに関する会計基準」(以下、新リース会計基準)の公表から1年近くが経過しました。強制適用は令和9年4月1日以後に開始する事業年度からになりますが、今期から早期適用をしている企業もあるのではないでしょうか。
既報(令和7年5月18日の横須賀G通信)の通り、新リース会計基準では使用する勘定科目がリース資産やリース債務から使用権資産やリース負債になり、オペレーティング・リース取引も含めたすべてのリース取引のうちリースとして識別されたものがオンバランス(資産・負債計上)されることとなりました。(その結果、オペレーティング・リースを従前どおり賃貸借処理し支払賃借料を損金算入する税務上の取り扱いとズレが生じるので別表調整が必要となります。)
今回の横須賀G通信では、新リース会計基準により具体的にどのように借手側の会計処理が変わったかについてお伝えします。
借手のリース期間
旧リース会計基準 | 新リース会計基準 |
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原則として契約書に記載された期間 | 解約不能期間 +「行使することが合理的に確実であるリースの延長オプションの対象期間」 +「借手が行使しないことが合理的に確実であるリースの解約オプションの対象期間」 |
企業ごとの状況を踏まえてリース期間が決定されることになりました。リース期間によりリース負債・使用権資産の計上される金額が変わります。(後述)
リース負債
旧リース会計基準 (リース債務) | 新リース会計基準 (リース負債) |
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・リース料総額(利息相当額を控除)の割引現在価値 ・貸手の購入価額(明らかでない場合は見積現金購入価額)のいずれか低い方 |
・リース料総額(利息相当額を控除)の割引現在価値 |
貸手の購入価額や見積現金購入価額が使用できなくなりました。
リース料総額とリース負債計上額の差額は利息相当額であり各期に配分されますが、この方法については改正はありません。
使用権資産
旧リース会計基準 (リース資産) | 新リース会計基準 (使用権資産) |
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リース債務と同額 | リース負債 + 付随費用 + 資産除去債務に対応する除去費用 – 受け取ったリース・インセンティブ |
新リース会計基準においてはリース開始時のリース負債と使用権資産の計上額が必ずしも一致しないことになります。
使用権資産の減価償却については基本的に旧リース会計基準から改正はありません。ただし、所有権移転外リースにおいて契約に残価保証が付されている場合にも減価償却の残存価額は0になります。
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