社会保険加入要件の拡大

投稿日2024.09.27

健康保険、厚生年金(以下「社会保険」という。)の加入要件は、近年いくつかの改正が行われており、今回の改正は令和6年10月1日から施行されます。この改正により、中小企業での労働者の社会保険加入率を高め、将来的な生活の安定に寄与することが期待されています。

改正内容

2022年の改正では、従業員101人以上の事業所の短時間労働者が新たに社会保険の対象となっていましたが、2024年10月1日からは、従業員51人以上の事業所の短時間労働者にまで加入要件が拡大されます。

短時間労働者(パートやアルバイトなど)の加入要件

今回の改正では、対象となる事業所の従業員数が拡大されましたが、短時間労働者が社会保険に加入する条件自体は、以下の通り2022年の改正内容を引き継ぎます。

(1)週の所定労働時間が20時間以上

週に働くべき時間(所定労働時間)が20時間以上であることが条件です。労働時間が月単位や年単位で定められている場合は、それを週単位に換算して計算します。

(2) 所定内賃金が月額88,000円以上

基本給や諸手当などを含めた所定内賃金が月額88,000円以上であること。ただし、以下の賃金は含まれません。
・時間外労働、休日労働、深夜労働に対する割増賃金
・賞与など1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
・臨時的な支払い(見舞金や資格手当など)、通勤手当、精皆勤手当など

(3)継続して2か月を超える雇用が見込まれること

2か月を超えて雇用されることが見込まれる場合が条件です。契約が2か月以内であっても、契約更新が見込まれる場合は該当します。

(4) 学生でないこと

大学生や高校生などの在学中の学生は適用外ですが、例外として以下のケースでは加入対象になります。
・卒業見込のある学生で、卒業後も同じ事業所に勤務する予定の方
・休学中の学生
・夜間学部や定時制課程の学生

このように、加入要件は労働時間、賃金、雇用期間、学生であるかどうかに基づいて判断されます。

まとめ

新たに適用対象となる従業員については、社会保険への加入手続きが必要です。事業主は、改正による加入要件の変更について、従業員に対し十分な説明を行い、理解を促すことが重要です。特に、新たに対象となる短時間労働者には、加入によるメリット(健康保険や年金制度の保障など)について説明し、適用に納得してもらうことが必要です。

事業主には対象者の確認から手続き、費用負担まで、さまざまな準備と対応が求められます。

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