修繕積立金について

投稿日2024.10.08

国土交通省は令和6年2月27日、第5回「標準管理規約の見直し及び管理計画認定制度のあり方に関するワーキンググループ」を開催し、修繕積立金の段階増額方式の引き上げ幅に関して一定の基準案を提示しました。そこで今回は修繕積立金についてお伝えします。

修繕積立金の徴収方法

修繕積立金の徴収方法には、主に均等積立方式と段階増額積立方式の2種類があり、それぞれの特徴と長所・短所をまとめると次のとおりとなります。

  特徴 長所 短所
均等積立方式 長期修繕計画で見込まれる修繕工事費の金額を計画積立期間に応じて均等に徴収する方法。 将来にわたり定額負担として設定しているため、将来の増額を組み込んでおらず、安定的な修繕積立金の積み立てができる。 ・修繕資金需要に関係なく均等額の積立金を徴収するため、段階増額積立方式に比べ、購入者は初期費用が高くなり、管理組合は多額の資金を管理する状況が生じる。
・均等積立方式であっても、その後の長期修繕計画見直しにより増額が必要となる。
段階増額積立方式 当初の積立額を低く設定する分、一定期間が経過するごとに徐々に積立金額が高くなる方法。 修繕資金需要に応じて積立金を徴収する方式であるため、購入者は初期費用を安く抑えることができ、管理組合は多額の資金の管理の必要性が均等積立方式と比べて低い。 将来の負担増を前提としており、計画どおりに増額しようとする際に区分所有者間の合意形成ができずに修繕積立金が不足する場合がある。

国土交通省の調査によると、修繕積立金の徴収額は新築マンション購入時と比較して平均3.6倍上昇しており、10倍を超えるケースもみられ、段階増額積立方式の方が多いのが現状です。

このような経緯から段階増額積立方式の引き上げ幅を均等積立方式の金額を基準とした場合に、「計画の初期額は基準額の0.6倍以上、計画の最終額は基準額の1.1倍以内、初期額に対する最終額の倍率は最大で1.8倍程度」となる基準が国土交通省により提示されました。

修繕積立金の目安

修繕積立金の水準については、購入予定者・既存のマンション区分所有者・管理組合が判断する際の参考になるように「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を国土交通省が平成23年に策定、令和3年に改定し、改定前の平成23年から約1.3~1.6倍程度上昇しています。

出典:国土交通省 「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」                                                                                                                             

修繕積立金の変動要因

建物の構造が複雑なマンション、機械式駐車場のあるマンション、エレベーターの台数、地上20階以上の高層マンション、塩害の被害が大きい湾岸沿いのマンション等、建物の形状、規模、立地条件、共用施設の状態、仕上げ材、設備の仕様によっても修繕工事費、修繕周期が大きく異なってきます。

また、人件費や建築資材の高騰により、工事費用が上昇していることや、長期修繕計画を定期的(5年毎)に見直されることも修繕積立金が変動する要因として挙げられます。

冒頭でお伝えした通り、段階増額積立方式による徴収方法が将来の修繕積立金を大きく変動させる要因となります。

公益社団法人東日本不動産流通機構が公表している2023年度の首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金の資料によると、修繕積立金の平均は187円/㎡であるのに対し、築年数5年未満になると117円/㎡になっています。

  

出典:公益社団法人東日本不動産流通機構
首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2022年度)」 

まとめ

修繕積立金が不足すると必要な時期に大規模修繕工事を行うことができなくなり、マンションの資産価値の低下リスクがあります。

適正な修繕積立金徴収、定期的に修繕計画が見直、マンションの管理適正化が推進されることにより、売却・購入予定者だけでなく、区分所有者や居住者にとってもメリットが期待できます。

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