相続の矛盾

投稿日2005.07.18

人口の合計特殊出生率が1.29人であるために、近い将来、老人対策費が増加することは必至である。加えて、子供が親の老後を世話するという風潮が薄れ、政府や他人に一任という風潮さえ芽生えつつある。そのために、老人対策費は膨張の一途を辿らざるを得ないのではないか。
そんな中で、政府や他人に頼らずに家族だけの力によって親の老後を世話したいとして懸命に努力している主婦がいる。今回のFAXニュースは、高齢化社会を迎えているにもかかわらず、これらの健気な主婦に対して、何の手当もしていない相続税の矛盾についてです。

相続割合について

親の死亡によって相続が発生すると、民法の規定によって法定相続分が決められて、原則として配偶者は1/2、残余の1/2は子供達が平等に相続することになる。
したがって、相続人の中には、親不孝の限りを尽くした子や、お嫁に行ったきり親元に寄りつかない子でも原則として平等だ。
一方、懸命に義理の親の老後を一身に背負って看護に当たった長男や次男の嫁(主婦)には相続権は与えられていない。
それらの対策として、遺言や生前贈与の方法が用意されていると言われるが、生前贈与の税率は異常に高く、また、例えば長男の嫁に、遺言によって遺贈されたとしても、その財産に対して課せられる税率は、親にそむき不孝の限りを尽くした相続人の相続財産に課せられる税率よりも20%も割高になっている。その理由は、長男の嫁は相続人ではないからである。

民法904条の2の寄与分について

この規定は「共同相続人の中で被相続人の療養看護その他の方法により、被相続人の財産の維持又は増加につき、特別な寄与をした者があるときは、その寄与分を認める」という規定である。しかし、この規定はあくまでも相続人のみに適用される規定なので、長男や次男の嫁(主婦)は相続人ではないから適用外となる。
結局、日本古来の家族を大切にする、より良き文化は破壊されてしまっている。誰がそうさせたかは知らないが、私は、義理の親を世話する健気な主婦への遺贈分等に対する高率課税軽減のために、叫び続けるつもりである。

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