連結納税制度からの離脱
平成14年度に導入された連結納税制度は、青色欠損金の持ち込み制限が緩和された影響などもあり、制度創設10年目を迎え徐々に普及が進んでいます。
しかし、その一方で、連結子法人株式の譲渡などにより、連結子法人が連結納税から離脱する事例も増えてきています。
今回のFAX NEWSでは、連結納税から離脱する場合の留意点について概要をまとめました。
(1) 連結離脱
連結納税制度は、法人を頂点とする100%親子兄弟関係がある法人グループに適用される制度です。したがって、連結子法人株式の一部を連結グループ外に譲渡した場合には、その連結子法人は連結グループから離脱し単体納税に戻ることになります。また、このような離脱により連結子法人がすべてなくなった場合には、連結グループが解体されたものとして連結親法人も単体納税に移行することになります。
(2) みなし事業年度
設例) 3/31決算法人、8/1連結子法人株式譲渡の場合
区分 | 対象法人 | 事業年度 | 申告形態 |
---|---|---|---|
単独で離脱 (連結維持) | 離脱した子法人 | 4/1~7/31 | 連結単体申告※ |
8/1~翌年3/31 | 単体申告 | ||
親法人・残った子法人 | 4/1~翌年3/31 | 連結申告 | |
全子法人離脱 (連結解体) | 親法人・全子法人 | 4/1~7/31 | 連結申告 |
8/1~翌年3/31 | 単体申告 |
※連結単体申告では、貸倒引当金等は連結法人としての取り扱いを受けますが、単体で申告するため損益通算や連結欠損金の利用はできません。
(3) 青色欠損金
連結納税から単体納税に移行した場合、各法人の「連結欠損金個別帰属額」は単体納税における青色欠損金として持ち出せますが、連結加入時に切り捨てられた欠損金は復活しません。
(4) 子法人株式の簿価修正
連結子法人株式を譲渡した場合、この子法人の連結納税適用期間中の損益のうち、譲渡株式相当部分を譲渡損益に加減しなければなりません。
(5) グループ税制の再譲渡
グループ税制によって、繰り延べられた譲渡損益がある場合、100%グループからの離脱によって再譲渡したものとみなされ、繰り延べられていた損益が実現することになります。
グループ内株式の譲渡は上記のように税務上様々な影響があるため多面的な検討が必要です。
お問い合わせは当ホームページの無料税務相談コーナーからどうぞ。
(文責-久保田 勝一)
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