地方から都心に来た「金の卵」たち

横須賀グループは東京神田周辺に拠点を構えて半世紀以上が経過しました。創業者である横須賀・久保田をはじめ、創業時の社員も元はといえば、「金の卵」と言われ、上京し事務所を支えてくれた世代。

地方にいた頃には、日々の生活にも事欠く中、都会に出てくることで一定の豊かさを手にいれることができた部分もあったわけですが、振り返ってみると、その一方で、「金の卵」たちを産み育ててくれた「地方」はどうなってしまったでしょうか？跡継ぎもなくなり空き家が増え、高齢化、田畑は放置されているところも多いのではないでしょうか？
　
そんな有り様をみて、私が連想するのは、イソップ物語の「金の卵を産むガチョウ」のお話です。

イソップ物語「金の卵を産むガチョウ」

ある日、農夫が一羽の「金の卵」を産むガチョウを拾います。そして、その「金の卵」のおかげで、毎日の生活が少しずつ豊かになっていきます。しかし、男はだんだんと、欲が大きくなってしまい、もっと「金の卵」が欲しい！！ついにはガチョウのお腹をナイフで割いてしまいます。でも、中には何も残っていませんでした。

イソップ物語の教訓

その農夫も、今の自分の幸せの根源は何か、何のおかげで日々の生活が豊かになったのか認識できていれば、このような過ちを犯さなかったでしょう。

弊社のガチョウです。卵から孵化しました。

我々にも当てはまること

我が国の活力の源であった「金の卵」の供給源は「地方」にありました。その人々が主要都市にやってきて、都心が発展を遂げたという流れがありました。
その一方で、原点の「地方」に対して、何をしてきたのでしょうか？ひたすら「金の卵」を頂き続けて、もはや地方に何も残っていない、状態に追いやってしまったのかもしれません。

イソップ物語の教訓

もう一度、その農夫が人生をやり直すのであれば、(1)ガチョウから「金の卵」をもらうだけではなく、元気に育ててあげる。(2)生まれた「金の卵」を温存し、新たな金の卵を産む「ガチョウ」を増やしていったら、その農夫は自分のみならず、みんなを豊かにする循環をつくることができたのかもしれない？？などと想像が膨らみませんか？

弊社の地方での取り組みへのヒント

横須賀グループも都会に出て、ある程度の成功をおさめたかもしれませんが、何か引っかかるものもありました。地方から出てきて、不動産にかかわる者として、地方の衰退した現状を憂えずにいられません。
そんな考えもあり、関西空港近く、泉佐野市上之郷にも支店を設けて東京に居住していた3名を、地方に送り込み、そこで地方再生に向けて頑張ってもらい、下のような施設が出来上がりつつあります。

古民家ファームという施設を運営しています。

昔は農業と生活はほぼ一体のものでしたが、現在では農家と都市市民との交流も少なくなっています。
そんなことも相俟って、今では、農家は自分で食べる分は無農薬で栽培しますが、都市の農協向けは農薬をふんだんに使って虫がつかない、きれいな野菜を供給する分業が進んでしまっています。

都市市民も虫のつく野菜を食べたがりませんので、それはお互い様なのですが、一見豊かな食生活を送っているように見えても、健康志向からは完全に逆行しているのが現実です。
日本の農作物の実態は、都市と農村の関係が希薄であるが故に、実態が伝わりません。日本品質は安心と思い込んでいる部分がありますが、収穫高あたりの農薬使用量は、世界最高峰と言われます。
このままではいけない。私どもは、その現状も打破していきたいと考えて取り組んでいます。

・弊社のガチョウは「金の卵」は産みませんが、毎日畑の雑草を食べて　くれています。そのため除草剤は使いません。
・山羊や羊たちも下草を食んでくれ、土を良くしてくれます。また、エサやり体験や触れ合い体験を通じた癒しをもたらしてくれます。

こんな農園の風景は、昭和初期までは当たり前にあったと思いますが、都心に出て行った後の世代にとっては希少となっています。
田舎から足が遠のいてしまった都市市民の皆さんにも、食の原点である農体験・動物とのふれ合い体験の場を楽しんで頂ける、地産地消の飲食店、マルシェなども予定し、地域の農家と都市市民の皆さんとの交流も期待しているところです。
都市市民の皆様に是非とも農場にご来場頂き、楽しんでいってもらい、それが地方再生、日本の食の再生の一助となれば幸いです。