令和6年度税制改正大綱における賃上げ促進税制の強化
令和6年度税制改正大綱が令和5年12月22日に閣議決定されました。
物価高に負けない構造的・持続的な賃上げの動きをより多くの国民に広げ、効果を深めるため、 賃上げ促進税制の要件等について見直しが実施される予定です。
今回は、この令和6年度税制改正大綱における賃上げ促進税制の改正内容についてお伝えします。
改正の概要
(1)大企業向けについては、より高い賃上げへのインセンティブを強化するため、現在の賃上げ率の要件を維持しつつ、更に高い賃上げ率の要件が創設されます。
(2)中小企業向けについては、5年間の税額控除の繰越措置が創設されます。
(3)中堅企業向けの新たな枠が創設されます。
(4)教育訓練費を増やす企業への上乗せ措置の要件が緩和されます。
(5)子育てとの両立支援、女性活躍支援に積極的な企業への上乗せ措置が創設されます。
具体的な改正内容
(1)大企業(資本金が1億円超)向け・中堅企業(大企業の内従業員数が2,000人以下)向け
改正前 | 改正後 | ||||
法人区分 | 大企業 | 大企業 | 中堅企業 | ||
控 除 率 |
給与の 増加 割合 ※1 |
+3% | 15% | 10% | 10% |
+4% | 25% | 15% | 25% | ||
+5% | 20% | ||||
+7% | 25% | ||||
上乗せ加算 | 教育訓練費+20% 以上で5%加算 |
教育訓練費+10% かつ 教育訓練費が給与の 0.05%以上で+5%加算 |
同左 | ||
- | 以下のいずれかで +5%加算※2 ・プラチナくるみん認定※3 ・プラチナえるぼし認定※4 |
以下のいずれかで +5%加算※2 ・プラチナくるみん認定 ・プラチナえるぼし認定 ・えるぼし認定(3段階目) |
※1 継続雇用者の給与等の増加割合で判定し、税額控除額は雇用者の給与等の増加額に控除率を乗じて計算します。
※2 上乗せ措置は、「子育てと仕事の両立支援」や「女性活躍の推進の取組み」について、厚生労働大臣の認定を受けた場合に適用されます。
※3 くるみん・・・仕事と子育ての両立サポートや、多様な労働条件・環境整備等に積極的に取り組む企業に対する厚生労働大臣の認定
※4 えるぼし・・・女性の活躍推進に関する状況や取組等が優良な企業に対する厚生労働大臣の認定
(2)中小企業(資本金が1億円以下)向け
改正前 | 改正後 | |||
控除率 | 給与の 増加割合 ※5 |
+1.5% | 15% | |
+2.5% | 30% | |||
上乗せ加算 | 教育訓練費+10%以上で10%加算 | 教育訓練費+5%、かつ、 教育訓練費が給与の0.05%以上で+10%加算 |
||
- | 以下のいずれかで+5%加算 ・プラチナくるみん認定 ・プラチナえるぼし認定 ・くるみん認定 ・えるぼし認定(2段階目以上) |
※5 雇用者の給与等の増加割合で判定し、税額控除額は雇用者の給与等の増加額に控除率を乗じて計算します。
(3)控除限度超過額の繰越
すべての企業で控除限度額は適用年度の法人税額の20%が上限となりますが、改正後の中小企業向けについては、賃上げを実施した年度の控除しきれなかった金額は5年間の繰越が可能となります。
適用時期
令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する事業年度について適用されます。
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