シェアサイクルのすすめ
近年、全国の都市でシェアサイクルの導入が進んでいます。
各所に設置された自転車貸出所(サイクルポート)で借りた自転車を別のサイクルポートに返すことができるシステムで、公共交通を補完する新たな交通手段となっています。
国土交通省は一層の普及促進を図るため、今年9月に「シェアサイクル事業の導入・運営のためのガイドライン」を、事業導入を検討する地方自治体の担当者に向けて取りまとめています。
今回は、成長過程にあるシェアサイクル事業の動向を紹介します。
シェアサイクルの導入状況
シェアサイクルは、2000年代以降にフランスから世界各地に本格的に普及しました。国内の導入都市数は、平成30年度から令和2年度まで微増で推移し、令和3年度末にかけて170都市から269都市に大きく増加しました。
NTTグループの合弁会社「株式会社ドコモ・バイクシェア」が平成27年2月に設立され、現在は都区部16区のほか、全国に展開しています。
平成28年11月には、ソフトバンク社内のスタートアップ企業OpenStreet株式会社が創業し、シェアサイクルプラットフォーム「HELLO CYCLING」を開発し、ソフトの利便性が飛躍的に向上しました。
現在は各地の地方公共団体含む運営企業50社にシステムを提供し、国内最大となる約6,600か所のサイクルポート数を誇っています。
利用する理由
利用者がシェアサイクルを利用する理由は、都市部・地方部を問わず、「サイクルポートが近い」「乗りたいときにいつでも乗れる」「どこでも自転車を返却できる」が上位で、利用目的は「買物・食事」「観光・レジャー」「通勤」が上位となっています。
逆に、利用しない理由は、「自動車や公共交通の方が便利」「乗りたい場所の近くにポートがない」「どこにポートがあるか分からない」「会員登録・支払いなど利用方法が分からない」が多く挙げられ、認知度の向上、他交通手段との連携、サイクルポートの密度などがポイントとなっています。
なお、利用する理由には挙げられていませんが、殆どが電動アシスト付きなので乗ってみると楽です。
導入効果
シェアサイクル導入の効果は、日常利用の割合が高い地域と観光振興地域に大別され、実際にシェアサイクルを導入した地域では、「観光戦略の推進」、「公共交通の機能補完」、「放置自転車の削減」、「地域の活性化」などの効果が確認されています。
また、自動車からの転換により「環境負荷の低減」、「健康の増進」、「災害時における交通機能の維持」、さらに、移動データを地域や社会の課題解決に向けて「MaaS」(マース、あらゆる公共交通機関をITを用いてシームレスに結びつけ、人々が効率よく、便利に使えるようにするシステム)に活用していくことも期待されています。
今後の見通し
「HELLO CYCLING」を開発し国内のシェアサイクル市場で半分程のシェアを占めるOpenStreet株式会社によれば、首都圏のシェアサイクルの普及台数や稼働率は、欧州のシェアサイクルに劣らない規模となっているものの、現在は試算している市場規模の10%程度であり、今後10倍の規模になることを見込んでいます。
課題
シェアサイクル事業は採算性が低く、持続的発展には採算性の確保が重要となります。初めの30分で130~150円と、使い易い料金設定も今後変わることがあるかもしれません。
また、自転車専用レーンの整備普及、道路交通法改正によるヘルメット着用努力義務への対応などが今後の課題として挙げられます。
まとめ
経験談となりますが、シェアサイクルは、電車が完全に止まった場合に代替の移動方法として重宝します。そのため災害時にも活躍が期待できます。
我々の不動産現地調査等においても、電車と自転車を組み合わせながら移動できるのが大変利便性が良いと感じるので、まだ利用されたことがない方にはお勧めします。
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