災害に遭ってしまったら
近年、全国各地で台風などの自然災害による被害が発生しています。
万が一、災害等により住宅や家財が被災してしまった場合、どういった救済措置があるのか主なものをご紹介していきます。
雑損控除と災害減免法
救済措置には、所得税法上の雑損控除と災害減免法による税額の減額、免除とがあり、確定申告においてどちらかを選択して所得税等を軽減することができます。
対象の範囲 | 控除額または軽減額の計算 | 繰越控除 | 住民税の取扱い |
---|---|---|---|
生活に通常 |
(1)損失額ー所得金額の1/10 (2)損失額のうち災害関連支出ー5万円 (1)と(2)のうち、多い方の金額を 所得から控除 |
翌年以後3年間の 繰越控除が可能 |
住民税にも適用 |
住宅または家財 の損失額(保険金等控除後)が その時価の1/2以上の場合 |
(1)所得金額500万円以下 ・・・所得税額全額免除 (2)所得金額500万円超750万円以下 ・・・所得税額1/2軽減 (3)所得金額750万円超1000万円以下(*) ・・・所得税額1/4軽減 |
適用なし |
別途住民税の申告が必要 |
*所得金額 1000万円超の方は対象外
事業者に対する支援
東日本大震災や西日本豪雨災害、熊本地震災害などの大規模災害では、都道府県が災害救助法の適用を決定します。この災害救助法の適用を受けた自治体の事業者は以下のような支援を受けられます。
(1)被災事業者を対象とした特別相談窓口の設置
(2)日本政策金融公庫と商工組合中央金庫による災害復旧貸付
(3)セーフティネット保証4号の適用
(4)既往債務の返済条件の変更や担保徴求の弾力化
(5)中小企業基盤整備機構による即日・低金利の融資の適用
災害救助法の適用外でも、税務署の承認を受けることで、災害等の生じた日の 属する課税期間について、消費税の簡易課税制度の適用を受けること、または適 用をやめることが可能です。
災害により事務処理能力が低下した場合や、緊急の設備投資を行うために簡易 課税から一般課税への変更が必要になった場合などに利用することができます。
適用を受けるために
以上のような特例の適用を受けるためには、被災したことの証明が必要となります。自治体の発行する罹災証明書、商工会や商工会議所などが発行する被災証明願などが証明となります。
その際、被害状況の証明が必要となりますので、詳細がわかるよう、しっかり写真を撮っておくことが重要です。
今回は主な救済措置をご紹介しましたが、この他にも申告・納期限の延長や、納税の猶予など様々な特例があります。
普段から災害に備えつつ、万が一、被災してしまった場合には、様々な特例を利用して一日でも早く復旧できるよう、ぜひ税理士にご相談ください。
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