源泉徴収税額表
新型コロナの5類移行から1年が経過したこともあり、ここのところ税務調査の件数が急速に増えています。
源泉所得税の税務調査では、福利厚生や社宅などの現物給与、住宅ローン控除、退職金などが論点になると思われがちですが、意外にも毎月の給与の源泉徴収税額表の適用誤りといった基本的な間違いを指摘されることが多いです。
給与にかかる源泉所得税の税額表には月額表、日額表があり、それぞれの表には甲欄、乙欄、丙欄などの欄があり、従業員の雇用状況や扶養人数によって見るべき税額欄が異なります。当然、同じ給与でも見るべき税額欄を誤れば数年分の追徴課税を受けることになってしまいます。
定額減税手続きで扶養控除申告書などの見直しをするこの機会に改めて毎月の源泉徴収手続きについても誤りがないか確認をされてはいかがでしょうか。
扶養控除申告書の確認
どの税額表を用いるかの判定の入り口は扶養控除申告書の提出の有無です。
ここでは、その従業員の勤務状況や給与計算の基礎などといった事実認定を争う余地は全くありません。単純に扶養控除申告書があるか否かです。目で見て確かめましょう。
正社員であるか、パートであるか、長期であるか、短期であるかなど独自ルールで判定してはいけません。
扶養控除申告書がある場合
扶養控除申告書があれば、見るべき税額欄は「甲欄」です。逆に扶養控除申告書がなければ「甲欄」を見ることはありません。
次に判定すべきは給与計算の基礎です。
・月ごと、半月ごと、10日ごと、月の整数倍の期間ごとに支払うもの…「月額表甲欄」
・日ごと、週ごと、日割で支払うもの…「日額表甲欄」
扶養控除申告書がない場合
扶養控除申告書がなければ「乙欄」か「丙欄」を見ることになります。
(1)日雇賃金
扶養控除申告書がない場合にまず判定すべきは、日雇賃金であるか否かです。
日雇賃金とは、日々雇い入れられる人の労働した日または時間によって算定される給与等で、労働した日ごとに支払を受ける(その労働した日以外の日において支払われるものも含みます。)ものをいいます。
ただし、1か所の勤務先から継続して2か月を超えて給与等が支払われた場合には、その2か月を超える部分の期間について支払われるものは含まれません。
日雇賃金と判定された場合は「日額表丙欄」を見ます。
(2)その他
上記のいずれにも該当しない場合、すなわち、扶養控除申告書の提出がなく、かつ、日雇賃金でもない場合は「乙欄」になります。
乙欄となった場合、甲欄同様に給与計算の基礎により用いる税額表が変わります。
・月ごと、半月ごと、10日ごと、月の整数倍の期間ごとに支払うもの…「月額表乙欄」
・日ごと、週ごと、日割で支払うもの…「日額表乙欄」
毎月の給与にかかる源泉徴収手続きで間違いが起こる理由は、あまりにも日常的な処理であるがために、前例、前任者からの引き継ぎを盲目的に踏襲してしまうことにあります。
担当者が変わる度に伝言ゲームのように引き継ぎ内容が変わったり、会社の雇用形態が多様化するなどで以前のルールが当てはまらなくなることもあります。
一度間違った処理をするとそのまま引き継がれて、何年も間違い続けることになりかねません。
この機会に基本に立ち返って見直しをしてみてください。
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