返還インボイス交付義務の見直しと少額特例
既報令和5年度税制改正大綱によるインボイス制度への影響の通り、令和5年度税制改正大綱ではインボイス制度の負担軽減措置が講じられています。今回は、その中から返還インボイス交付義務の見直しと少額特例について詳しくご紹介します。
返還インボイス交付義務の見直しと少額特例
本来相手方が負担すべき振込手数料等を自社が負担した際の処理方法としては(1)売上値引、(2)支払手数料の2通りがあります。(1)の方法を採る場合は相手からの「返還インボイス」が必要とされていましたが、今回の見直しによってその交付義務が免除される予定です。
また、(2)の方法の場合でも、事務負担の軽減のための措置が新たに講じられます。
(1)返還インボイス交付義務免除 |
(2)少額特例 |
|
---|---|---|
対象 |
全ての会社・個人 |
基準期間(2期前)における課税売上高が1億円以下または前事業年度の上半期(個人は1月~6月)における課税売上高が5千万円以下 |
改正後 |
税込1万円以下の値引・返品、手数料について返還インボイス不要 |
税込1万円以下の取引について、帳簿の保存のみで仕入税額控除可能 |
期間 |
恒久的 |
令和5年10月1日~令和11年9月30日 |
注意点
上記の措置は対象金額が1万円以下という点は同じですが、少額特例は対象者が限定されていること、時限措置であることに注意が必要です。
また、返還インボイスの交付義務免除はあくまでも売上値引として処理している場合に限られます。そのため、支払手数料として処理している場合に免除を受けるためには、売上値引の課税コードを付すなどして、消費税の申告上売上値引として扱うことを明らかにする必要があります。
そのため、上記措置の適用を検討される際には、
・基準期間の課税売上高が1億円を超える事業者においては、相手負担手数料を売上値引処理とするかどうか(しない場合には課税コード等の入力が必要)
・課税売上が1億円以下の事業者においては、相手負担手数料の売上値引処理の確認に加え(少額特例を使える場合は支払手数料処理でも可)、毎期ごとに課税売上高を確認すること(少額特例の判定)
といった点に留意しなければなりません。
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