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インボイス制度での税額計算

投稿日2023.06.28

インボイス制度(10月1日開始)の導入によって消費税の計算方法が変わります。
売上税額(仮受消費税)と仕入税額(仮払消費税)の計算方法は、「割戻し計算」と「積上げ計算」の2通りがあり事業者の任意により選択適用となりますが、それぞれの計算方法には有利不利があり、また組み合わせには制限があるため実務上の負担増も考慮して選択する必要があります。
今回の横須賀G通信は、インボイス制度での税額計算についてお伝えします。

売上税額(仮受消費税)の計算方法 

(原則)割戻し計算 税率ごとに区分した税込金額の合計額から算出
(×100/110、×100/108)した課税標準額に
それぞれの税率を掛けて売上税額を算出
(特例)積上げ計算 交付したインボイスに記載した税率ごとの消費税額等を
積上げて売上税額を算出
(併用) 割戻し計算と積上げ計算を併用(得意先ごとに分けて適用等)

仕入税額で認められている帳簿積み上げ計算はできません。

仕入税額(仮払消費税)の計算方法

(原則)

(1)請求書積上げ計算


(2)帳簿積上げ計算


(1)か(2) もしくは(1)(2)の併用


交付されたインボイスに記載された消費税額等を積上げて
仕入税額を算出


課税仕入れの都度、税込金額から仮払消費税等
(切捨てまたは四捨五入)を算出(×10/110、×8/108)して、
その合計額から仕入税額を算出
(特例)割戻し計算 税率ごとに区分した税込金額の合計額から仕入税額を算出
(売上税額を割戻し計算している場合に限る)

売上税額で認められている割戻し計算と積上げ計算の併用はできません。
また、免税事業者からの課税仕入れに係る経過措置(横須賀G通信(YF-00920)参照)を適用する場合の税額計算は、仕入税額について積上げ計算を適用している場合は積上げ計算、割戻し計算を適用している場合は割戻し計算により算出する必要があります。

計算方法変更による対応

現状、会計システムに税率ごとに税込金額を入力し、税抜金額と消費税額を算出してそれぞれ集計している場合は、入力方法を変えることなく売上税額は割戻し計算、仕入税額は帳簿積み上げ計算か割戻し計算の対応ができます。
ただし、仕入税額に関してはインボイスかインボイス以外か、インボイス以外の場合は経過措置の対象かを区分する必要があります。

一方、売上税額の積上げ計算及び仕入税額の請求書積み上げ計算はインボイスに記載された消費税額を正しく集計する必要がありますので、システム変更や入力の仕方を変えて対応する必要があります。

売上税額と仕入税額の計算方法の組み合わせ

売上税額と仕入税額それぞれの計算方法には、下記の通り強制的な組み合わせがありますので注意が必要です。

(売上税額) (仕入税額)
(原則) 割戻し計算 (原則)
(1)請求書積上げ計算
(2)帳簿積み上げ計算
(特例)
割戻し計算
(特例) 積上げ計算
(併用) 割戻し計算+積上げ計算
(原則)
(1)請求書積上げ計算
(2)帳簿積み上げ計算

一般的に売上税額の計算は積上げ計算が有利になり、仕入税額の計算は割戻し計算が有利になりますが、この組み合わせでの計算はできません。

売上税額で割戻し計算を選択した場合は、仕入税額は積上げ計算又は割戻し計算のいずれも選択できますが、積上げ計算を選択した場合は、仕入税額も積上げ計算を適用しなければいけません。
また、仕入税額で割戻し計算を選択できるのは、売上税額も割戻し計算を選択している場合に限られます。

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