電子帳簿保存法におけるスキャナ保存制度
令和6年1月より、2年間の猶予期間が設けられていた電子帳簿保存法の運用が開始されます。約2週間後にはインボイス制度が始まりますが、その後すぐに電子帳簿保存法への対応にも迫られることになり、事業者のますますの負担増が予想されます。
そこで今回は、改めて電子帳簿保存法の概要を振り返り、その中でも紙保存の負担を減らすことが期待されているスキャナ保存制度についてご紹介します。
電子帳簿保存法の概要
電子帳簿保存法の内容は、大きく以下の3つに分けられます。それぞれの概要と、ポイントとなる点を簡単にご説明します。
(1)電子帳簿等の保存
…電子的に作成した帳簿や書類をデータのまま保存できる制度です。従来紙に出力していた申告関係書類等について、今後は一定の要件のもと、紙保存が不要となります。この制度への対応は任意であり、義務ではありません。
(2)スキャナ保存
…紙の原本をスキャンすることで、電子データとして保存できるようにする制度です。詳細は後述しますが、この制度を活用し原本を廃棄することで、書類の保存コスト削減が期待されています。(1)と同様、対応は任意です。
(3)電子取引
…電子メールで受信した請求書など、紙の原本がそもそも存在しない取引について、電子データのままで保存しなければならない制度です。電子取引の範囲やデータ保存の要件については既報(yf-00989、yf-00973、yf-00943等)でご紹介しておりますので、そちらをご参照ください。また、(3)電子取引だけは上記の(1)、(2)と異なり、制度適用が義務化されますので、対応が必須となります。
スキャナ保存制度
スキャナ保存については令和5年度税制改正により保存要件が緩和され、より柔軟な対応が可能となりました。新たに始まるインボイス制度の元では原則的に全てのインボイスを保存しておく必要があり、取引が増えるにつれ関係書類の数も膨大になっていくことから、特に経済規模の大きい事業者にとっては、この制度の採用は一考の余地があると言えます。
以下はスキャナ保存のための要件をまとめたものです。
(国税庁資料より引用)
スキャナ保存はスマートフォンで行うことも可能になっていますので、よりハードルは低くなっていると言えます。
また令和3年度の改正により、保存した電子データについて訂正又は削除を行った場合に、これらの事実及び内容を確認することができるクラウド等において、入力期間内にそのデータの保存を行ったことを確認することができるときは、タイムスタンプの付与に代えることができることとされました。そのため、今後はより一層クラウドサービスなどの導入が進んでいくことになりそうです。
今後の展望
冒頭でも述べましたが、令和6年1月以降はインボイスの対応に加えて、電子帳簿保存法についても注意深く対応していくことが求められます。特に電子取引データの保存は義務になりますので、まだ未対応の方は早急に手を打つことが必要です。
また、最近では様々なクラウドサービスが登場していますが、その多くが電子帳簿保存法に対応しています。上記の電子取引データの保存はもちろん、スキャナ保存・電子帳簿保存の要件も満たせるようなものもありますので、もし今後紙保存をやめたいとお考えであれば、これらのサービスを利用することも選択肢の一つになります。
税理士法人横須賀・久保田では電子帳簿保存法への対応はもちろん、保存要件を満たすクラウドサービスのご案内も可能です。電子取引データの保存義務化まであと3ヶ月ほどに迫った今、改めて社内フローなどを確認してみてはいかがでしょうか。
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