インボイス制度開始後の留意事項
インボイス制度が開始され、異なる請求形式の対応や記載の不備、登録番号の確認作業等で業務の負担が増加しているのではないでしょうか。
そのような中、国税庁のインボイス制度特設サイトでは「お問合せの多いご質問」としてQ&A TOP10(令和5年11月版)や「多く寄せられるご質問」(令和5年11月13日更新)に続いて「インボイス制度開始後において特にご留意いただきたい事項」(令和5年11月24日更新)が公表されています。
今回の横須賀G通信は、インボイス制度開始後の留意事項を中心にお伝えします。
登録通知が未達の場合の対応
インボイスの登録申請をしてから登録番号の通知が届くまでは一定期間を要します。売手側の対応として、通知を受けるまではインボイスを交付することができませんので、通知を受けた後の事後的な対応が必要になります。詳細は既報「インボイス制度の最終確認」の登録申請が期限直前になってしまった場合をご参照ください。
なお、事後的な交付が困難な小売店等では、HPや店頭で交付の遅れを伝え、通知後にHP等で登録番号を掲示して保存してもらうことが必要になります。
インボイスの適正性の確認
インボイスに記載された登録番号が適正かどうかは必ず確認する必要があります。ただし、継続取引先に関しては取引の都度確認する必要はなく、取引先の規模や関係性に応じて一定のサイクルを決めて確認すること等でも問題はありません。
また、インボイスに記載する名称は電話番号を記載するなど特定することができれば屋号や省略した名称でも差し支えないため、インボイス公表サイトと異なる名称になる場合がありますが、記載された登録番号が公表サイトで有効なものと確認できれば正しいインボイスとして取り扱うことができます。
クレジットカード利用の場合
クレジットカード会社が作成した利用明細書だけではインボイスの要件を満たしませんので、仕入税額控除の適用を受けるためには購入時の領収書等の保存が必要になります。
ただし、インボイスの保存がなくても仕入税額控除ができる特例(少額特例、公共交通機関特例等)の場合はクレジットカードの利用明細書だけで仕入税額控除が可能です。
免税事業者の交付する請求書等
インボイスを交付できるのはインボイス発行事業者に限られますが、免税事業者等インボイス発行事業者以外の者が請求書等に消費税額を記載してもインボイスと誤認される(登録番号と類似した英数字の記載等)おそれがなければ問題はなく、仕入の際に負担した消費税額を取引価額に上乗せして請求することは適正な転嫁として認められます。
交際費から除かれる5,000円以下の接待飲食
税務上の交際費から除かれる1人当たり5,000円以下(令和6年度税制改正で上限が上乗せされる見込)の接待飲食費について、インボイス発行事業者ではない飲食店で飲食を行った場合には、税抜経理でも支払金額に消費税はないものとされるため、領収書に消費税額が記載されていたとしても本体価額に含めて5.000円の判定をします。
ただし、経過措置による6年間は一定割合の仕入税額控除ができるため次のとおり異なります。
インボイス発行事業者でない飲食店で店内飲食を行った場合の基準額
発生日 | 税込支払金額 | 税抜金額 | 経過措置 | 仕入税額控除 | 交際費の額 |
---|---|---|---|---|---|
-R5.9.30 | 5,500 | 5,000 | – | 500 | 5,000 |
R5.10.1-R8.9.30 | 5,392 | 4,902 | 80%控除 | 392 | 5,000 |
R8.10.1-R11.9.30 | 5,238 | 4,762 | 50%控除 | 238 | 5,000 |
R11.10.1- | 5,000 | 4,546 | – | 0 | 5,000 |
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