民間ビル耐震診断義務化について
平成22年11月30日、東京都は、「都内の主要幹線道路沿いの民間ビル耐震診断の実施を義務化する方針を固めた」と発表しました。
この義務化が条例により施行された場合、民間ビルの建築物に対する耐震診断の義務化では全国で初めてとなります。
そこで、今回のFAX NEWSは、「民間ビル耐震診断義務化」についてその概要をお知らせします。
1.耐震診断とこれまでの耐震診断のあり方について
耐震診断とは、地震に対してどの程度被害を受けにくいかといった地震に対する強さ、すなわち「耐震性」の度合いを調べることをいいます。
耐震診断は、阪神・淡路大震災を教訓に平成7年(1995年)に施行された「建物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」により世間で知られるようになりました。
この法律では、昭和56年(1981年)以前に建築された旧耐震基準の建物等について積極的に耐震診断を進めることを内容とするものでしたが、現状の耐震診断は建物所有者の努力義務にとどまっています。
2.東京都の民間ビル耐震診断義務化についての概要
耐震診断義務化の概要として東京都が発表した、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化促進に向けた新たな規制誘導策の基本的な考え方(案)(以下、「基本的な考え方(案)」という)によれば、主な内容は以下の通りです。
(1)義務化の理由
南関東で30年以内にM7程度の大地震が発生する確率は70%であり、震災時に沿道建築物が倒壊した場合、避難、救急、救援、緊急物資の輸送、復旧・復興の動脈である緊急輸送道路が閉塞し、都民の生命や都内の機能確保に弊害が生じるため。
(2)対象建物
下記のA~Cすべてを満たす建物が対象となる予定です。
A 旧耐震基準の建物、
B 道路幅員の概ね1/2を超える高さの建物、
C 重要な緊急輸送道路(首都高速道路、国道、都内の幹線道路の殆どの道路が該当)の沿道にある建物。
(3)罰則
対象建物に該当し耐震診断を実施しなかった所有者には罰則が設けられる予定です。
3.むすび
東京都は、基本的な考え方(案)に対する、都民の意見を聞いたうえで早ければ平成23年度にも条例を施行する予定とのことです。
耐震診断の費用は建物によって異なりますが補助金の活用が可能です。
義務化された場合、世間一般に認知され、耐震診断の有無が不動産売買、賃貸に影響する可能性もあります。
建物所有者は国民の生命を守る以外に、自らの資産価値を守るためにも積極的に耐震診断を行うことが必要なのではないでしょうか。
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(文責-横須賀 博)
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