住宅の更新料の行方
住宅を借りている方の中には、更新料が悩みの種という方もいらっしゃるでしょう。この更新料が有効であるか無効であるかについては、昨年最高裁で「高額過ぎるなどの特段の事情がない限り無効ではない。(FAXNEWS YF-00576)」と判示されました。当時は年あたり約1~2ヶ月程度の更新料で争われ、いずれも有効となりました。ただ、どれほど高ければ「高額過ぎる」と認められるのか?までは示されませんでした。
今回のFAXNEWSでは、京都地裁で「1年契約の更新料の上限は年間賃料の2割が相当」であり、その金額を超えた部分の返還を命じた判決がありましたのでご紹介します。
契約及び判決の概要(平成24年2月29日判決)は以下の通りです。
京都市の賃貸マンションで、家賃は年額57.6万円(月額4.8万円)、1年毎に更新料15万円の授受をすることで契約し、これまで3回の更新料計45万円を支払っていました。そして、判決は1年契約で更新料15万円のうち、年間賃料の2割(57.6万円×0.2=11.52万円)を超える他の部分(15万-11.52万=3.48万円)の3回分即ち、3.48万×3回=10.44万円 の返還を命じました。
これまで、「高額過ぎる」更新料の具体的な目安がない中では、上記の年間賃料の2割が一つの上限の参考となるかもしれません。
もっとも、更新料としていくらが「高額過ぎる」のかは、その地域や敷金・礼金、賃料とのバランスもありますので、案件により水準が異なると考えられます。また、既に相互に納得した契約に関して後から「無効」と訴えることが適切なのか、議論が分かれるところです。また、これは地裁の判決ですから、今後の動向を見極める必要があるでしょう。
なお、更新料はかつて住宅が供給不足であった時代に、契約を更新してくれたお礼として借主が大家さんに金銭を支払っていた名残といわれますが、今は殆どの地域が住宅供給過多となり、大家さんは空室に悩んでいます。このため、年間賃料の2割を超えるような更新料を毎年頂くとなれば、たちまち入居者が居なくなってしまいます。
むしろ最近では大家さんが「更新してくれてありがとう」と物品を入居者に贈るケースも見られますので、賃貸市場で「高額過ぎる更新料」に触れる機会はこの先、当分ないのではないかと思っています。
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(文責-横須賀博・林達郎)
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