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首都圏中古マンション価格の推移動向

投稿日2024.02.08

今年は年明け早々から日経平均株価が急上昇し、今年中にはバブル期の最高値を超えるのではないかと言われるほどに株式市場は活況を呈しています。不動産市場も都心部を中心に取引は概ね堅調さを保っており、特にマンションについては新築・中古問わず価格の上昇が継続している状況にあります。

今回は、ストック総数が約694.3万戸(国土交通省発表2022年末時点)の中古マンションにスポットを当てて、そのなかで取引の中心となっている首都圏中古マンション価格の推移動向について報告します。

首都圏新築マンション価格と比較した中古マンション価格の推移

株式市場の株価と同様に、不動産価格においてもバブル期(1986年~1991年)が最高価格であったとされています。

バブル期以降の首都圏新築・中古マンション価格の推移は以下の通りです(新築マンションの価格は株式会社不動産経済研究所発表の「マンションデータ・ニュース(売出価格)」等、中古マンション価格は公益財団法人東日本不動産流通機構発表の「首都圏不動産流通市場の動向(成約価格)」資料を弊社集計、以下グラフの根拠資料は同様)。

上記グラフから新築・中古マンション価格は、概ね比例関係で推移していることが分かります。

また、新築マンション価格はバブル期の価格(6,123万)を(6,260万と)2021年に超え、一方で中古マンション価格は(公表データが1992年までのためバブル期の価格は不明ですが)、新築・中古マンション価格の推移が概ね比例関係であることから、2023年の中古マンション価格(4,575万)も、バブル期の価格を超えているか又は同水準である可能性があります。

なお、上記グラフは平均価格の推移であるため、地域によってはバブル期の価格を超えていない可能性はありますが、現状の価格水準を把握するうえで参考になります。

主要4都県の中古マンション価格の推移

上記首都圏中古マンション価格を細分化した主要4都県(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)の価格の推移は以下の通りです。

全体的に、(バブル崩壊後2000年〜2003年で底をうち上昇傾向で推移し、2008年〜2012年に概ね横這いで推移し)2012年を起点に主要4都県の価格は再び上昇傾向にあります。

特に、2012年以降は東京都の上昇が加速しており、首都圏中古マンション価格を牽引しているほか、相対的に希少性を有するマンションが多く利便性の高い東京都に需要(人口)が集中していることが推測できます。

また、(中古マンション価格についてはバブル期の公表データがないためバブル期の価格は分かりませんが)公表データとして最高価格であった1992年の価格と2023年の価格を比較すると、東京都だけが1992年の価格を超えており、他県は未だそれ以下の価格水準であることがわかります。

東京都の中古マンション価格の上昇要因

下のグラフは、東京都の中古マンション価格と日本国内の金融政策及び為替との関係を示したものです(為替は月末価格の合計の年平均を弊社集計)。   

   

東京都の中古マンション価格(水色の棒ブラフ)は、(2008年のリーマンショック~2011年の東日本大震災等の事象で価格調整後)2012年を起点として再び上昇しており、2012年に発足した第二次安倍政権の質的・量的金融緩和による景気浮揚策が影響していることがわかります。

一方で、為替もその頃を起点に1ドル80円台から2023年は141円台と円安ドル高傾向で推移し、中古マンション価格の推移と概ね正比例関係にあることがわかります。

国内の不動産市場は、国内需要者だけでなくグローバル化しており、中古マンションも例外でなく、(黄色の棒グラフで示されるように)為替の影響を考慮すると東京都の中古マンションは割安水準にあり、国内の不動産市場に強い影響力をもつ海外需要者にとって魅力的であることがわかります。

ちなみに、2022・2023年においては、為替変動を考慮すると海外需要者の視点では、価格は上昇でなく下落している状況にあり、このことは中古マンション全体に言えるでしょう。

中古マンション価格の今後の動向について

今後の中古マンション価格の動向を予測することは難しいですが、個人的には日米金融政策の変更をきっかけとした為替変動が、中古マンションの需給を通じて少なからず中古マンション価格に影響するのではないかと考えています。

具体的には、日本銀行は早ければ2024年4月にマイナス金利を解除し、米国中央銀行は2024年中に(0.25%ピッチで3〜4回)利下げする可能性があります。

その結果、日米金利差の縮小によって、(一般的に国内外金利差の影響で変動するとされる)為替が円高ドル安方向に転換し、潤沢な資金を有する海外需要者の購入意欲が低下することで、中古マンション価格の上昇の程度が緩やかになるのではないかと考えています。

今後どのように中古マンション価格が推移するのか見守りたいと思います。

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