連結納税制度とは
企業会計審議会は「連結財務諸表原則」を改正して連結決算を重視する姿勢を打ち出しました。産業界ではこれに合わせて連結納税制度も導入すべきとの要望が高まっています。
もともと連結納税制度とは親会社と同一視しうるような一定の子会社群を一つの課税単位として課税する制度で、対象各社の所得と欠損を通算し、グループ内の取引から生じた内部取引損益は対象資産がグループ外に売却されるまで課税の繰延ができるというものです。
今週のFAXNEWSはこれら連結納税制度についてです。
経団連案による連結納税制度
連結納税制度の具体的手法は未だ固まってはいませんが、現在のところ経団連の案と通産省の案とが議論されています。今回は経団連案について述べることにします。
1.概要
イ.連結対象・・・・・・・・100%の子会社(任意選択・継続適用)
ロ.納税主体・・・・・・・・親会社に集中する
ハ.連結方式・・・・・・・・税額合算方式
ニ.配当可能利益への影響・・なし
ホ.株主総会の決議・・・・・不要
ヘ.繰越欠損の管理・・・・・親会社が行う
2.具体例
イ.現行の納税スキーム
親会社A 税引前当期利益 100×税率40% = 納税額40
子会社B 税引前当期損失 △50 0(損失50は5年間繰越)
子会社C 税引前当期損失 △20 0(損失20は5年間繰越)
連結ベース 税引前当期利益 30 納税額40
上記の現行納税スキームに対し、税額合算方式による連結納税制度スキームは以下のとおりです
ロ.税額合算方式による連結納税スキーム
親会社A 税引前当期利益 100×税率40% = 納税額40
子会社B 税引前当期損失 △50×税率40% = △ 20(還付相当額20計上)
子会社C 税引前当期損失 △20×税率40% = △ 8(還付相当額8計上)
連結ベース 税引前当期利益 30×税率40% =合算納税額12(親会社が納税)
上記ロ.のように親会社の税額のうち子会社の赤字に対応する分は親会社から子会社へ支払い、差引きされた純額を納税額とするというもの。でも未だ不確定要素も多いですから、時の流れの一コマとしてのニュースです。
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