株式の交換制度
企業の買収や子会社による業態再編を促進するために、株式交換制度と株式移転制度が平成11年10月1日から施行されました(商法352条)。これまで、少数株主の反対等などがあって企業買収や子会社の経営権移転を遅らせていることがありましたが、今回の制度の導入により、これらが迅速にできるようになりました。
今回のFAXNEWSは、この株式交換制度の概要についてです。
株式交換制度とは
両会社の株主総会の特別決議があれば、一部の反対株主がいても、株式交換により 100%子会社化できる制度です。すなわち、子会社の株主が有する株式を親会社が発行する新株と交換し、親会社の株主とさせることです。
譲渡益課税の繰延べ
子会社の株主は、株式を親会社に譲渡(現物出資)し、代わりに親会社の株式を取得することになりますので、その譲渡による譲渡益課税の問題が生じますが、一定の条件のもとに課税の繰延べが認められます。
その一定の条件とは、
(1) 親会社・・・子会社株式受入価額がその株主の帳簿価値以下となること。但し、子会社株主数が50人以上は純資産の帳簿価額×取得割合とする。
(2) 子会社株主・・・親会社株式取得価額が子会社株式の帳簿価額と同額とすること。
(例) 子会社株式の帳簿価額を100以下で受け入れること(時価が100超であっても)
仕訳 子会社株式 100 資本金 100
子会社株主は親会社株式の取得価額を100とすること。
仕訳 親会社株式 100 子会社株式 100
経営戦略上、合併や企業買収等を実施したくても、少数株主の反対、買収資金及び譲渡会社の株主に譲渡所得税(法人株主の場合は法人税)がかかるなどの面もあって、ためらっていたこともあったかと思いますが、この株式交換制度により一歩前進という事になりました。
一度ご検討してみてはいかがですか。
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