商法等の一部改正(金庫株の解禁)
前号で一部お知らせしたとおり、「商法等の一部を改正する等の法律」が、平成13年10月1日から施行され、今まで、原則禁止となっていた自己株式の取得が、原則自由となりました。
企業が、自社の株券を現金と同じように必要なときに保管するところから、この自己株式のことを「金庫株」とも呼びます。今週のfAX NEWSは、この金庫株についてです。
1.金庫株解禁の概要
(ア)自己株式の取得方法
中小企業(非公開会社)の場合、株主からの直接相対取引により買取ります。
手続としては、定時株主総会の特別決議(過半数以上の出席・2/3以上の賛成)により、財源規制(※)の範囲内で株式の種類・総数・取得価額の総額等を決めるとともに、売り主以外の株主にも売却権を確保する手続をとった上、次の定時株主総会終結の時までに買受けることにより行います。
※財源規制=配当可能利益(注)を財源の上限とします。
(注)配当可能利益=(a)純資産-(b)資本金-(c)資本準備金・利益準備金-(d)繰延 資産の超過額-(e)配当・役員賞与等
原則として、剰余金から当期の利益処分額を控除した金額となります。
(イ)自己株式の保有
消却及び処分の義務が無くなり、原則として継続保有ができるようになります。
(ウ)自己株式の処分・消却
自己株式の処分・消却が取締役会の決議だけでできるようななりました。
しかし、経過措置により、ストック・オプション株の権利行使及び従業員持株会制度に基づく場合等の例外を除き、平成14年3月31日までの処分は禁止されています。
2.金庫株解禁にともなう実務上の対応 Q&A
Q.金庫株取得の際、取締役が注意すべき点はありますか?
A.取締役は、進行営業年度末において資本の欠損(配当可能利益が無くなること)が予想できるのに自己株式を取得した場合には、連帯して損害賠償の責を負います。
しかし、欠損が生じるか否かの予想判断に不注意が無かったことを証明できれば免責となります。
Q.金庫株解禁による中小企業のメリットは何でしょうか?
A.主に、次のような点がメリットになるといわれています。
(a)合併により自己株式を取得しても相当期間内に消却する必要が無くなります。
(b)分散していた株式を会社で買取って集約し、従業員持株会に持たせたり、オーナーの後継者へ譲渡する・さらに、オーナーに相続があった場合に会社で買上げる等の機動的対策がより制約なしにできるようになります。
Q.会計処理と税務に変化はありますか?
A.(a)会計=自己株式は従来、貸借対照表上の資産の部に計上していましたが、資本の部の控除項目となります。
(b)税務=売却した株主(法人・個人とも)は、一定部分についてみなし配当課税を受けます。
(公開株式の場合は、例外的に譲渡益課税)
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(文責-横須賀 博)
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