民事再生法

投稿日2001.10.28

バブル経済崩壊後、長引く不況の中、企業倒産が戦後最悪といわれるほど増加しています。
従来、企業倒産に対応する法的制度のうち、中小企業向けとされる和議法、商法上の会社整理は、現実の経済状況に対応できていないとの批判が多いために、これらの欠点を取り除き、平成12年4月に施行された制度が民事再生法です。
最近は同法を用いて再建を図ろうという会社が多いため、今回改めて民事再生法の内容についてまとめてみました。

1.立法趣旨
 経済的に窮地にある債務者が、財政状態が極端に苦しくなる前に裁判所に再生手続開始の申立をすることによって、再起を図りやすくすることが目的です。
一度企業を破綻させると、仕入先、得意先などの取引関係の維持が困難となるばかりでなく、社会的信用を失い企業の再建は困難となるため、経営者に企業再建への意志がある場合には同法の積極的活用が期待されます。

2.利用対象者
 本法は、もともと中小企業を対象として構想されたものですが、法律上、利用対象者は何ら限定されていないため、会社(組織・規模を問わない)、個人事業者、社団法人、財団法人、学校法人、協同組合、医療法人なども利用出来ます。

3.会社債権者の同意
再生手続が開始されると、再生法適用会社に対する売掛金、貸付金などの債権者は、弁済を受けることが制限されます。反面、債権者は再生手続に参加できるほか、再生計画案の決議に対して議決権が与えられます。
再生計画案は、債権者集会に参加した債権者の過半数、かつ総債権額の2分の1以上の賛成が必要となります。

4.特徴
(1)従前の経営者による事業の継続 …
従前の経営者による事業の継続を前提とするので、会社創業者が事業に一度失敗しても自ら再起を図りやすくなりました。
但し、必要がある場合には、従前の経営者に代わる管財人を選任出来ます。
(2)手続開始時期の早期化 …
債務者が経済的に窮地にあれば、破産原因がなくても手続きを早期に開始出来ます。
(3)適切な計画案の作成への期待 …
手続開始後、裁判所が定める期間内に再建計画を作成し、提出すればよくなり、適切な計画案を作成する時間的余裕が出来ました。
(4)事業継続に不可欠な財産の確保 …
担保権付財産が事業継続に不可欠な場合には、その財産の価額相当の金銭(必要に応じて、裁判所選任の評価人により評価)を裁判所に納付し、担保権を消滅させ、事業継続に不可欠な財産の確保をすることが出来ます。

5.むすび
民事再生法申請による倒産は、昨年4月の施行以来、平成13年8月時点で、1,182件に達したとのことですが(帝国データバンク調べ)、この法を実際に適用しようとするときは、法の専門家である弁護士に相談するのが先決です。

お問い合わせは当ホームページの無料税務相談コーナーからどうぞ。

(文責-横須賀 博)

メルマガ登録はコチラ

当グループでは、メールマガジン「横須賀G通信」を毎月3回発行しています!
会計・税務・不動産に関する最新情報や知らないと損をする情報などをお届けしています!
お申し込みはこちらからお気軽にどうぞ。

    メールアドレス必須

    企業名必須

    お名前必須

    プライバシーポリシーについて

    上記をご確認の上、同意をいただける場合は「同意する」にチェックを入れてください。

    必須

    著者プロフィール

    税理士法人横須賀・久保田編集部

    税理士法人横須賀・久保田では、昭和31年の創業以来築き上げたノウハウを駆使し、経験豊富なスタッフが一人ひとりのお客様にベストな選択を提案します。

    CONTACT

    お問い合わせ

    ご相談・ご質問はこちらからどうぞ。

    お電話でのお問い合わせはこちら

    GO TOP