商法改正による株券失効制度について
株主が株券を紛失したために、発行会社に株券の再交付を請求する場合、従来は、紛失した旧株券について裁判所の除権判決を受けて失効させる公示催告手続が必要でした。このため、弁護士に支払う報酬が十万円単位でかかる等負担の大きいものとなっていましたが、商法改正により、今年4月1日より手続が簡略化されることになりました。今回のfaxnewsは新設された株券失効制度についてです。
今回の商法改正により、有価証券のうち株券に限り公示催告手続が不要となり、株券喪失者は新しく導入された株券失効制度のもとで、直接、発行会社に対して旧株券の失効手続をとることができるようになりました。具体的手続きは次の通りです。
喪失登録の申し出
株券を喪失した株主は、会社に対して、警察署発行の遺失届出証明書、消防署発行の焼失届出証明書等喪失事実を証明する資料を添えて、喪失登録の申出をします。その際、申出人が名義上の株主でないときは、申出人を追跡確認できるよう、申出人の印鑑証明を添付します。
喪失登録簿への記載
喪失登録の申出があると、会社は、株券喪失登録簿に必要な事項を記載します。この場合、申出人が名義上の株主と異なるときは、名義上の株主に対し、喪失登録がされたこと及び株券が無効となる日を通知します。これは、名義上の株主が知らない間に株券失効ということにならないようにするためです。
また、会社は、第三者たる所持人より名義書換請求があったときは、その株券提出者に対し、その株券につき株券喪失登録がある旨を通知する義務があり、株券の喪失登録抹消日または効力失効日までの間は、名義書換をすることはできません。
喪失登録簿の備え置き
株券喪失登録簿は本店に備え置きし、何人にも閲覧可能にします。
登録異議の申請
登録異議の申請(喪失登録がされている株券の所持人である第三者による呈示)がされたときは、会社は喪失登録者に対して申請があった旨の通知をし、その2週間経過後に株券喪失登録を抹消しますが、この場合には、喪失登録申出人と呈示者のどちらが真の株主かを会社が確認します。
株券の再発行
登録異議の申請が無いまま喪失登録日の翌日より一年を経過すると、喪失株券は無効となり、初めて登録者は初めて発行会社に対して株券の再発行を請求することができます。
なお、法務省は現在、会社が株券を発行しないことができる「株式不発行制度」を検討中です。株券自体を廃止してしまえば、このような除権だの失効だのという面倒な手続も必要なくなって便利になりますね。
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