不動産取引情報のネット公開について
国土交通省が「不動産取引情報のネット公開」を検討しています。実現すればインターネット上で日本全国から簡単に、ある地点の取引情報を見ることが可能となります。一方、個人情報の開示が行われるため、どのレベルの情報まで公開するかについて慎重な議論が求められますが、国土交通省は今秋にも決定する見込みです。そこで今回のFAX NEWSは、不動産取引情報のネット公開(案)についてご紹介致します。
情報提供の必要性について
土地市場の構造的変化に伴い、土地に関する正確かつ詳細な情報の必要性が高まっており、特に土地に対する投資を行おうとする者にとって、その土地の収益に関する情報は欠かせないものです。しかし、我が国では、プライバシーを侵害するおそれがあるのではないかという懸念や、守秘義務の問題から、行政や民間による個々の土地に関する売買価格や賃料といった情報の提供は、ほとんど行われていない状況にあります。
以上のような現状を踏まえ、今後我が国において土地情報の開示・提供のあり方について検討を進めていく必要があると考えられますが、その際にはプライバシー等の問題について配慮するとともに、どのような形で情報の収集及び提供に当たることがその目的・趣旨等からみて適当であるのかという点について、諸外国の例も参考にしつつ検討していく必要があります。
情報の提供方法について
国土交通省は、どのような内容の情報を提供するかについては、公開する項目の種類、内容の違いにより以下の3種類の案を提示しています。
まず、A案では、取引された個別物件ごとに「所在及び地番」「地目」「地積」「取引年月日」「取引価格」「建物の種類・構造・床面積」の公開を予定しています。また、不動産の種類別取引件数の情報等も提供する方針です。次に、B案では、A案から詳細な地番、取引年月日等の一部を伏せた情報の提供を、最後に、C案では、A案のうちの不動産の種類別取引件数の情報等のみ提供するとしています。そして、A・B・C案のうち「正確な情報を提供して多様な活用を可能とする見地」から、より詳細な情報提供を行う「A案が妥当ではないか」との見解が、現段階で示されています。
むすび
個人のプライバシーを侵害しない方法で不動産取引情報が開示されれば、市場の透明性を高め、流通の活性化に繋がることでしょうが、これには反対も根強くあります。
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