給与と請負契約
人材派遣業の拡大など労務形態の多様化により給与所得と事業所得との区分が曖昧になり、その判断は近年ますます難しくなってきています。
給与となるか事業所得である請負となるかの区分については、消費税や源泉所得税だけでなく、今年4月からスタートしている外形標準課税の計算にも大きな影響を与えます。
そこで今回のFAX NEWSではこの区分について整理しました。
具体的な判定
給与は「雇用関係又はこれに準ずる関係に基づいて提供される労働の対価」であり、請負は「独立して営まれた業務の提供の対価」です。これらの判定は契約の形態ではなく、実態によって判断されます。
具体的には下記のような事実関係を総合的に勘案して決めることになります。
判定事項 | 給与となる場合 | 請負となる場合 |
個々の作業について指揮監督を受けるか。 | 受ける。 | 受けない。 |
他の人に代替できるか。 | できない。 | できる。 |
引き渡し前の完成品が滅失した場合の責任は誰がとるか。 | 会社 | 作業した人 |
交通費負担や材料、作業用具の提供があるか。 | ある。 | ない。 |
消費税
給与であれば消費税は不課税です。
しかし、請負であれば課税取引となり、支払側では税額控除ができ、受取側は申告納税義務が発生します。
源泉所得税
給与であれば支払の際に源泉所得税の対象となりますが、請負であれば源泉所得税の対象となりません。(ただし、報酬の内容によっては「報酬・料金等」として源泉所得税の対象となる場合もあります。)
受取側の所得税の計算方法も給与所得と事業所得では全く違ってしまいます。
外形標準課税の課税標準となる報酬給与額
外形標準課税の概要についてはFAX NEWS(YF-00275)や当税理士法人ホームページでも解説している通りですが、付加価値割として報酬給与、利子、賃借料の支払いに対して0.48%の事業税が課税されます。
請負契約など事業所得とみなされるものはこの報酬給与額に含まれません。
給与か請負かの区分を誤ると、支払った側も受け取った側も思わぬ税金を納めることになりかねません。
上記の表などを参考に契約内容などを再検討してみてはいかがでしょうか。
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