賃貸住宅に係る原状回復の説明義務条例
東京都はこのほど、住宅の賃貸借契約を結ぶ際、仲介する宅建業者に、借り手に対する原状回復の負担割合の説明を義務付ける「東京都における住宅の賃貸借に係る紛争防止に関する条例」(以下、「東京ルール」という)を可決し、今年の10月1日から施行されることになりました。
そこで今回のFAX NEWSは、「東京ルール」についてご紹介します。
条例の目的
民間賃貸住宅における賃貸借契約は、契約自由の原則により、貸す側と借りる側の双方の合意に基づいて行われるものですが、東京都によると、退去時の敷金精算において入居期間中の修繕費を、貸した側と借りた側のどちらの負担で原状回復を行うことが妥当なのかについて多くの相談が寄せられていたようです(2003年度は、6,642件)。
また、国土交通省が98年に策定した原状回復トラブル防止のための最初のガイドラインが5年間で約3万部頒布されたのに対して、今年2月に策定された「新ガイドライン」は、既に2万6千部も頒布されていることが不動産適性取引推進機構の調べで分かり、関心の高さが伺えます。
こうした原状回復のトラブルを未然に防止し、賃貸市場の透明化を図ることが「東京ルール」の目的です。
条例の内容
東京ルールでは宅建業者が賃貸借契約を結ぶ際には、借り手に対して
(1)退去時の通常損耗等【例:テレビの後部壁面の黒ずみ(電気ヤケ)、家具を置いたあとの畳のへこみ等】の復旧は貸主が行うことが基本とされていること
(2)入居期間中の必要な修繕は貸主が行うことが基本とされていること、また
(3)賃貸借契約の中で借主負担としている事項や
(4)修繕と維持管理等に関する連絡先等については別途、書面で説明しなければならなくなりました。
また、宅建業者のうち上記の事項について違反した者には、指導・勧告を行い、従わない場合は氏名も公表されます。但し、「東京ルール」の対象は、東京都内の物件に限ることとなります。
むすび
この「東京ルール」によって原状回復に関するトラブルが減少していけば、原状回復問題に一石を投じることができ、他の地方自治体も「東京ルール」を基本とした条例を作成しようとする取り組みが行われ、全国的に賃借人と賃貸人の両者が安心して貸し借りできる民間賃貸住宅市場が確立されていくことでしょう。
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