執行役員就任時の退職金
平成19年度税制改正に伴う通達改正の中で、所得税基本通達では「使用人から執行役員への就任に伴い退職手当等として支給される一時金」の取り扱いが新設されました(所基通30-2の2)。また、この通達に関するパブリックコメントに対する国税庁の回答が先月公表されました。
これまで、執行役員は会社法上の使用人であることから、使用人が執行役員へ就任してもその法的地位に変動がないものとして、就任時に打切支給する退職金は退職所得ではなく賞与として課税されていました。今回の通達により一定の要件を満たす場合は、この退職金を税務上も退職所得として扱われることが明らかになりました。
対象となる執行役員
執行役員就任時の退職金を退職所得とするためには、執行役員就任が使用人を退職したと同等であると認められる必要があります。個々の事例から実質判断することになりますが、使用人から執行役員への就任につき、勤務関係の性質、内容、労働条件等において重大な変動があって、勤務関係が形式的には継続しているが、実質的には単なる勤務関係の延長とは見られないような執行役員が対象となります。
具体的には、例えば、次に掲げる要件のいずれにも該当する執行役員が該当します。
(1)執行役員との契約が委任契約またはこれに類するもの(雇用契約ではない)であり、かつ、執行役員退任後に使用人としての再雇用が保障されていないこと。(再雇用が保障されている事実がなければよく、契約書上で明記されている必要はありません。)
(2)執行役員に対する報酬、福利厚生等が役員に準じたものであり、その任務、規程に反する行為により使用者に生じた損害についての賠償責任を負うこと。
対象となる退職金
使用人が上記の執行役員に就任する時に支払われる一時金であり、この一時金の計算期間が将来支給される退職金の計算から除外されるものに限られます。
退職金の支給を受けた執行役員が役員へ就任した場合
この通達を適用して退職金の打切支給を受けた執行役員が、その後、会社法上の役員(取締役会構成メンバーなど)になり、再び、執行役員分の退職金の打切支給される場合でも、法令上の地位及び責任に明確な変動があると認められれば、従来通り、所基通30-2(2)「使用人から役員になった場合の一時金」の要件を満たす限りこの退職金は退職手当等として取り扱われます。
執行役員との契約を変更した場合
今回の通達改正を機に、執行役員との従来の契約を改定し、この通達の要件を満たす契約とした場合(例えば雇用契約を委任契約に変えるなど)に打切支給される退職金でも、その地位等に大きな変動があると認められることから上記1の要件を満たしている限り、退職手当等として取り扱われることになります。
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