賃料(家賃)増額請求について
賃貸人が「周辺相場より現行家賃が安いので、30%の値上げで今後の家賃を支払ってもらいたい。」と賃借人に要求すると、賃借人は「いきなり30%の値上げは高すぎます。現状維持か少しの値上げで抑えて欲しい。」と拒絶する。最近、こんなやり取りを耳にする機会が多くなりました。当事者間で、合意に至ればそれに越したことはありませんが、合意に至らない場合は調停や裁判に発展します。そこで、今回のFAX NEWSでは賃料(家賃)増額請求の法的根拠とその趣旨についてお知らせします。
賃料(家賃)増額請求の法的根拠
賃料(家賃)増額請求の法的根拠は借地借家法32条1項にあります。同法によれば賃料(家賃)増額請求権が認められる場合として、「一定期間建物の賃料(家賃)を増額しない旨の特約がある場合を除き、現行賃料が不相当になった場合は契約の条件に拘わらず賃料(家賃)増額請求をすることができる。」と規定しています。そして、現行賃料が不相当になる場合として次の3点を例示しています。
(1) 土地若しくは建物に対する租税その他の増減
(2) 土地若しくは建物の価格の高低その他の経済事情の変動
(3) 近傍同種の建物の家賃と比較
つまり、(1)~(3)いずれかの原因によって現行賃料が不相当になった場合は、賃貸人は賃料(家賃)増額請求権を行使することができます。では、賃料(家賃)増額請求権が借地借家法32条1項によって認められた制度趣旨はどのようなところにあるのでしょうか。
借地借家法32条1項で賃料(家賃)増額請求権が認められる制度趣旨
契約法上、当事者は「合意した契約内容を守るべき」という大原則があります。しかし、継続した賃貸借契約においては、経済事情及び社会情勢等の影響で合意した家賃の支払を履行することが信義・衡平に反することがあります。そこで、その解決を図るべく契約法上の大原則の例外として事情変更の原則を取り入れ借地借家法32条1項が規定されたのです。ここに、賃料(家賃)増額請求権の制度趣旨を認めることができます。
むすび
賃貸人が賃料(家賃)増額請求権を行使したとしても、賃借人が要求された家賃を支払わなければならない訳ではありません。当事者で合意に至らない場合は、調停や裁判によって適正な家賃が決定されます。しかし、調停や裁判は長期に及び必ずしも当事者にとっていいことばかりではありません。新たな賃料の値上げに関しては、信頼関係に基づきお互いの状況を尊重して行なって頂きたいものです。
お問い合わせは当ホームページの無料税務相談コーナーからどうぞ。
メルマガ登録はコチラ
当グループでは、メールマガジン「横須賀G通信」を毎月3回発行しています!
会計・税務・不動産に関する最新情報や知らないと損をする情報などをお届けしています!
お申し込みはこちらからお気軽にどうぞ。