事業承継税制の見直し

投稿日2008.04.18

「平成20年度税制改正大綱」において、事業承継税制について抜本的な見直しが行われることとなりました。その見直しの1つとして、現行の自社株に係る10%減額措置に代わって、「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」が創設され、、平成20年10月1日以後の相続から適用される予定です。今回のFAX NEWS では、納税猶予制度の内容を説明します。

取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度とは

(1) 納税猶予の内容

 事業の後継者が、非上場会社を経営していた被相続人から相続等により自社株を取得し、その後もその会社を経営していく場合には、納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した議決権株式等に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予されます。但し、軽減の対象となる株式は、発行済議決権株式総数の2/3以下となります。

(2) 納税猶予の免除

 5年間、事業を継続し、その後も死亡時まで株式を保有し続ければ、最終的に猶予税額の納付が免除されます。

(3) 主な要件

 対象会社は、中小企業基本法上の中小企業です。業種・資本金・従業員数により判定されます。
 被相続人は、会社の代表者であった者、かつ同族関係者と合わせて発行済株式総数の50%超の株式を保有し、かつ親族内で筆頭株主であった者です。
 相続人は、その会社の代表者となり、同族関係者と合わせて50%超の株式を保有し、かつ親族内で筆頭株主となることが必要です。

留意点

 以下の要件を満たさなくなった場合は、納税猶予税額を納付しなければなりません。その際には、相続税の法定申告期限からの利子税も加算されます。

5年の間に、事業を継続していないと認められる場合
例)代表者でなくなる、雇用の8割以上を維持していない 等
猶予税額の全額
5年経過後に、納税猶予の対象となった株式等を譲渡した場合 納税猶予対象株式に占める
割合に応じた猶予税額

 子供に会社を継いでほしいと願っている中小企業のオーナーには、画期的な制度です。しかし、事業承継後も、長期的に経営が安定していること、死亡時まで株式を保有し続けることなど、厳しい要件を併せ持つ制度となっています。経営状況が不透明な場合は、十分な検討が必要です。未確定な部分が多く残っていますので、いずれ確定しましたらお知らせいたします。
詳しくは当税理士法人まで。

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