上場有価証券の評価損
今年3月、与党国際金融危機対応PTは「会計上減損処理を行った納税者が、税務上損金算入する場合の判断基準を明確化すべきである。」旨の提言を行いました。これを受け、国税庁は4月に「上場有価証券の評価損に関するQ&A」を公表し、税務上損金に算入できる評価損の基準を明確化しました。
今回のFAX NEWSはこの上場有価証券の評価損についてお知らせします。
株価の回復可能性の判断
法人の所有する上場有価証券(企業支配株式を除く。)については、その価額が著しく下落し、帳簿価額との差額を損金経理により減額した場合は、その評価損の損金算入が認められます。ここでいう「著しく下落した」とは、その価額が概ね50%以上下落し、かつ、近い将来回復が見込まれないものをいうこととされています。
従来、この回復可能性の有無の基準が明確ではなく、会計基準を準用しながら実質判断をするなど損金処理に関しては常に税務リスクが伴っていました(YF-00479参照)。
今回公表されたQ&Aでは、「法人側で、過去の市場価格の推移や市場環境の動向、発行法人の業況等を総合的に勘案した合理的な判断基準が示されていれば、その基準を税務上も認める。」としています。また、この基準は、法人が独自に策定したものでなくても、専門性を有する第三者機関である証券アナリストなどによる個別銘柄別、業種別分析や業界動向に係る見通し、株式発行法人に関する企業情報などを用いて判断したものでも認めるとされています。
したがって、必ずしも株価が過去2年間にわたり帳簿価額の50%程度以上下落した状態でなければ損金算入が認められないというものではありません。
監査法人の監査を受ける場合の形式的な基準
監査法人の監査を受ける法人では、税効果会計の観点から繰延税金資産の計算を含む財務諸表の適正性についてチェックを受けています。株主や債権者などの利害関係者保護のために財務情報の信頼性を確保する責務を有する独立の監査法人の監査は、十分に客観性があり、恣意性が排除されていると考えられます。そこで、法人が、継続的に過去一定期間の株価の動向など一定の形式基準を用いることにより、回復見込みなしと判断し、かつ、監査法人がその判断の合理性についてチェックした上で適正と認めたものは税務上もその判断を尊重し、損金処理を認めることになりました。
非上場有価証券の評価損
上記の取扱いはあくまでも企業支配株式を除く上場有価証券に関するものであり、上場有価証券であっても企業支配株式であるものや非上場有価証券に関しては適用されません。これらの有価証券の損金処理については、従来通り、1株あたり純資産価額が50%以上下落するなどの資産状態の著しい悪化に起因する価額の著しい下落、かつ、回復見込みがないことが必要です。
詳しくは当税理士法人まで。
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