利益の資本組入
これまで禁止されていた利益の資本組入が平成21年4月1日から可能になりました。今回のFAXNEWSは、この制度についてご紹介します。
【利益の資本組入とは】
無償増資の一種で、過去に蓄積した利益の一部である利益剰余金(その他利益剰余金または利益準備金)を資本金に振り替えることです。現金を用意できなくても資本金を増やすことができるので、増資の必要がある場合には選択肢の一つとして有効な制度です。
株主総会の決議は必要ですが、会計処理としては
(借)繰越利益剰余金(または利益準備金)××(貸)資本金××
という仕訳を起こすだけで済みます。
【経緯】
旧商法の時代にも利益の資本組入は可能でした。ところが平成18年の会社法施行によって利益と資本を厳密に分けるという趣旨で禁止されてしまい、資本組入の原資としては資本準備金やその他資本剰余金に限られることになってしまいました。
今回、各種団体からの要望等によって平成21年3月に会社計算規則が改正され、再び認められるようになりました。
【みなし配当課税】
以前の税法は、利益の資本組入を利益の配当と配当金の出資という2段階に分けて考え、利益を資本組入をする際には配当金に対して源泉徴収して納税しなければならないと規定していました。みなし配当課税というこのような制度があったため、実際に資本組入を行う際には結局現金を用意する必要があり、使い勝手のよい制度とは言えませんでした。
現在の税法ではこの制度は復活していないため、資本組入しても配当という課税関係は発生しません。
【その他の税法の扱い】
利益を資本金に振り替えても税務上の資本金の額は変わりません(税務上は仕訳なし)。したがって、税務上の損金算入額等の扱いに変更はありません(均等割額も変更ありません)。
ただし、会計上の資本金が1億円を超えると外形標準課税の対象となってしまいます。また、会計上の資本金と税務上の資本金が異なることになるので、法人税の申告書での調整が必要になります。
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