更新料条項の最高裁判決について
以前のFAXNEWS(YF-00510及びYF00513)において、更新料条項について「無効」と「有効」の各事案(大阪高等裁判所判決)を紹介しました。また、平成22年2月24日にも「更新料は無効」との高裁判決がでており、判断が分かれていましたが、平成23年7月15日にこれら3件の上告審について、「更新料は有効」との最高裁判所の初判断が示されました。これにより、借主側の敗訴が確定しました。
そこで、今回のFAXNEWSはこの最高裁判決についてお知らせします。
最高裁判所の判決理由
契約期間1年で更新料が賃料の約2ヶ月分の事案と、契約期間2年で更新料が賃料の2ヶ月分の事案いずれについても最高裁判所は、「更新料条項は消費者契約法10条に該当せず有効であるとし、貸主は借主に対し支払い済みの更新料を返還する必要はない」と判断しました。主な判断理由は以下の通りです。
(1) | 更新料は賃料の補充や前払い、賃貸借契約を継続するための対価など複合的な性質を有しており、その支払いに経済的合理性がないとはいえない。 |
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(2) | 一定の地域において、更新料の支払いをすることは公知であり、裁判上の和解手続等においても更新料を無効とする取扱いはなされていない。そのため、更新料条項が契約書に明記され、当事者間で合意している場合には、当事者間の情報収集力等に大きな格差があるとはいえない。 |
(3) | 以上により、賃料や契約更新期間に照らして更新料が高額すぎるなどの特段の事情がない限り、消費者(借主)の利益を一方的に害するとはいえず、消費者契約法10条により無効とすることはできない。 |
むすび
今回の最高裁判決により、原則として「更新料は有効」と結論づけられました。更新料の設定は首都圏や関西圏などで商慣習化しており、該当物件は100万件に上るといわれていましたので、この結論に胸をなで下ろしている大家さんも多かったのではないでしょうか。
ひとまず最高裁判所の統一見解が示されたので、今後はこの判決を前提とした更新料条項が設定されていくと思われます。これにより、貸主・借主間の紛争が少なくなることを願ってやみません。
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