改正耐震改修促進法が不動産市場に与える影響について
平成25年5月22日、「建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律(以下、耐震改修促進法という)」が国会で成立しました(施行は平成25年11月予定)。阪神・淡路大震災後、平成7年12月25日に耐震改修促進法が施行されてから、今回の改正で8回目になります。今回のFAX NEWSは「改正耐震改修促進法が不動産市場に与える影響について」お知らせいたします。
改正耐震改修促進法の概要
改正前と大きく異なる点は、病院・旅館・店舗・学校・老人ホーム等の不特定多数の人が利用する大規模な建物(政令で概ね延床面積5,000平米を予定)について、耐震化率を90%にする目的から、建物の耐震診断の義務化、耐震診断結果の公表がなされるといったことです。
改正前は、全国で東京都のみが条例で一定の要件を満たす建物所有者に対して耐震診断の義務を課していましたが、全国的には耐震診断は義務ではなく建物所有者の努力義務でした。
また、耐震改修が必要な一定規模等の建物所有者が自治体の指示に従わなかった場合、その旨の公表がなされるのみでした。
今回の改正耐震改修促進法は、法的に耐震診断を義務化し耐震診断の結果を自治体が公表することで、不動産価格に影響を与えることから、建物所有者に対して積極的に耐震改修を促す法律といえます。
不動産市場に与える影響
一般的に不動産売買取引においては、売買情報にいくつかの不確実な要素があるものですが、耐震診断結果を踏まえて取引が行われることから、不動産の透明性がある程度確保され適正な価格形成に寄与する法律といえることでしょう。
一方で、耐震診断結果が公表されることにより、耐震化に対応していない賃貸不動産では、賃料値下げ要求がなされたり、賃借人が敬遠し空室率が高くなる可能性があります。
また、自営をしている旅館・ホテルの場合は、稼働率が低くなり経営が逼迫する可能性があります。耐震改修工事を行うにあたり国や自治体の補助金の支援はありますが、その金額は少額であることから、賃貸不動産及び自営の旅館・ホテルの耐震改修が完了していない建物所有者は、耐震改修工事費を捻出するために計画的な積立をする必要があるでしょう。
むすび
建物所有者ごとに耐震への意識は異なるものの、将来的に、南海トラフの巨大地震や首都直下型地震が起こると予測されており、改正耐震改修促進法は国民の生命を守るために重要な法律であるといえます。
この法律の施行により、耐震化率がいかほど促進されるのかその状況を見守りたいと思います。
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