新興国での課税事例

投稿日2013.11.08

先々月、経済産業省は、新興国に進出した日本企業が直面した税務上のトラブルの具体的事例、留意点、対応策等についてまとめた事例集を公表しました。国際的な課税問題は、現地の税務当局による税務調査によって顕在化し、過去の分も含めた追徴課税が発生する可能性があります。こういったリスクを事前に認識し、問題が発生しないようにどう対応すべきかまとめた資料です。今回のFAX NEWS は、この事例集の中身について簡単にお伝えします。

具体的事例

(1)移転価格課税

現地子会社の実際の利益率が一定の利益率に満たない場合、その不足分を現地または日本で課税対象とされることがあります。

(2)ロイヤリティ

日本の親会社が現地子会社に技術指導を行い、その対価をロイヤリティとして回収することがあります。その際、送金規制の発生、損金処理の否認、ロイヤリティ料率の移転価格課税、源泉徴収の必要性等について見解の相違が発生することがあります。

(3)PE(恒久的施設)認定

現地子会社や駐在員事務所がPEとして認定されると、PEに帰属する事業利得が現地で課税対象となります。PEの範囲を拡大解釈される傾向があります。

その他新興国の税制の特徴

(1)手続き面

還付手続きや租税条約の適用手続きが煩雑で、実質的に還付や恩典を受けられないケースがあります。

(2)複雑、頻繁な税制改正

最新の情報を入手することが肝要です。

(3)移転価格調査の特殊性

重点的に調査される会社の類型をあらかじめ定めている場合があります。

(4)地域や担当者による執行の差、税務当局の不正行為、国内救済措置の機能不全

対応策

関係機関が行うセミナー等に参加して最新の情報収集にあたるのはもちろんのこと、社内で国際税務に対応する部署、人員を整備する、現地子会社との意思疎通を図る、移転価格課税に対応できるよう、契約関係を見直す等が必要であるとまとめています。

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