税務署からの「お尋ね文書」
税務調査の手続きが平成23年12月の税制改正において法定化されました(法定化の内容は既報(YF-00631)のとおり)。それに伴う税務署側の負担増などの理由で税務調査の件数は減少傾向となっています。
時を同じくして増加傾向にあるのが税務署からの「お尋ね文書」です。この「お尋ね文書」の性格については依然としてあいまいな所がありますので今回のFAXNEWSではその対応についてお伝えいたします。
「お尋ね文書」とは
税務署が行政指導の一環として納税者に発送している文書です。この文書は行政指導であるため法的拘束力はなく、回答は任意となります。仮にこの文書に対して回答をしなくても特に不利益が生じることはありません。
なお、この文書がきっかけで申告内容に誤りがみつかり自発的に修正申告等をした場合には、税務調査を受けての修正ではありませんので過少申告加算税はかかりません。(但し、延滞税は発生します。)
税務署側の目的
この「お尋ね文書」は税務調査とは異なり、質問検査権などの法的拘束力があるものではないので、納税者自身に申告の誤り又は申告漏れの可能性の有無を確認させ、もし誤り等があれば自発的に修正申告、更正の請求、期限後申告(申告漏れの場合)をさせることが主な目的といえます。
これには税務署の適正申告水準を確保する手法として減少傾向にある税務調査の代わりにこの文書を活用しようとする意図が見え隠れします。税務署からすれば資料や情報を納税者から提供してもらえば、税務調査を行うことなく、申告内容の確認ができる為、今後、この文書は増加していくものと思われます。
納税者の対応
「お尋ね文書」には前述しましたとおり、回答の義務はありませんが、回答をしないと税務署から適正な申告ではない可能性があると思われて後日、税務調査に繋がってしまうかもしれません。一方で、回答がきっかけで疑義があると思われて税務調査に発展した事例も耳にします。
「お尋ね文書」の内容や納税者の置かれた状況によって、どのような対応をすればいいのか慎重な判断が求められます。この文書がお手許に届いた際には、まずは専門家に相談することが最も適切な対応だといえそうです。
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