相続税改正の影響事例(3)

投稿日2014.11.18

今回のFAX NEWSは「相続税改正の影響事例(3)」として、老人ホームに関連した事項を取り上げます。

老人ホームと小規模宅地の特例

小規模宅地の特例とは、居住の用に供されていた宅地等について、330平米まで(平成27年1月1日から)相続時の評価額を80%減額できるという制度です。

このため、仮に路線価等の評価額が4000万円の宅地であれば20%相当の800万円まで減額できるので、下記の取得者の要件(*)を満たすのであれば是非利用したい制度です。なお、結果として税額がゼロになる場合であってもその旨の申告は必要です。

(*)対象宅地を相続する方が①配偶者、②同居親族、③非同居親族(その方または配偶者が所有する家屋に過去3年間住んだことがない親族)のいずれかであること等をいいます(実際はさらに細かい要件があります)。

居住の用に供されていた宅地等ということなので、老人ホームに入所中に亡くなった場合の扱いが気になります。

税法は、平成26年1月1日以降の相続にあたっては、
(1)入所していた方が亡くなるまでに要介護認定等を受けていたこと
(2)入所後新たに、それまで住んでいた建物を貸付等に出していないこと

これら二つの条件を満たせば特例が使えるように改正されています。

平成25年以前は、老人ホーム入所時に所有権や終身利用権を取得した場合は適用を受けられませんでしたが、現在は緩和され使い勝手がよくなりました。

なお、老人ホームとは、特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、有料老人ホーム、軽費老人ホーム、介護老人保健施設、認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居、サービス付き高齢者向け住宅、障害者支援施設・共同生活援助を行う住居とされています。

有料老人ホームは、設置時に都道府県知事への届出が必要ですが、中には届出を行っていない施設もあるようです。上記特例は、未届の施設には適用されないので、念のため確認したほうがよさそうです。

入居一時金の扱い

相続税の改正点というわけではありませんが、老人ホーム入居時に支払った入居一時金の一部が相続時に払い戻される場合があります。この払戻金は亡くなった方の相続財産になりますので注意が必要です。

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