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税務調査での質問応答記録書

投稿日2016.04.18

最近、税務調査の立ち合いをしていて、質問応答記録書の作成を求められることが多くなったと感じます。この質問応答記録書とは、税務調査における質疑応答の中で調査官が特に重要と判断した内容について、Q&A形式で文書に記録し、納税者に署名押印を求めて作成する行政文書です。

この制度は平成25年から始まったばかりで、これから受ける税務調査で初めて経験するという納税者の方も多いと思います。

今回は、この質問応答記録書の作成を求められても、慌てず冷静に対応できるよう、質問応答記録書の概要、留意点をまとめてみました。

(1) 作成する場合 

質問応答記録書は、課税要件の充足性を確認する上で重要と認められる事項について作成することとされています。具体的には、証拠書類など客観的な証拠がない場合、つまり、納税者の回答内容そのものを証拠、あるいは、立証の柱として更正処分をしようとする場合などが該当します。

国税庁が作成している「質問応答記録書作成の手引」によれば、外注費に関して役務提供の事実がない旨の回答があった場合や役員給与について勤務実態がない旨の回答があった場合などが例示されています。

重加算税の対象となる事案や行為計算の否認を視野に入れていることが想定されます。

(2) 利用範囲

質問応答記録書は、更正処分を行うためだけに作成されるわけではありません。

処分に関する再調査(旧異議申立て)や審査請求、訴訟に至るまで課税処分の根拠となる証拠として利用されることになります。

そのため、調査官は質問応答記録書の証拠能力を高めるために、質問内容や記載方法などに様々な工夫をしています。

(3) 署名押印

調査官は質問応答記録書を書き上げ、内容確認をした後、回答者に署名押印を求めます。
この署名押印は任意であり、拒否しても差し支えありません。

書かれた質問応答記録書を読み直して、不利な証拠になると感じたら署名押印は拒否した方が良いです。一旦、署名押印をしてしまうと後々調査官の主張に反論する際に理論展開が難しくなってしまうことがあるからです。

質問応答記録書は納税者の回答を証拠とするもの、言い換えれば納税者が自ら作る証拠であるともいえます。「忙しかったので早く終わらせるために適当に答えてしまった」「調査官の機嫌を損なわない方が良いと思って相手に合わせて答えてしまった」などということがあれば取り返しのつかないことになってしまいます。調査官の質問の趣旨、意図を良く考えて冷静に対応してください。

ご不明な点などは、お気軽に無料税務相談コーナーからどうぞ。

(文責-久保田勝一)

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