研究開発税制の見直し
平成29年度税制改正では、研究開発投資を増加させるインセンティブを強化する観点から、税額控除率や対象となる試験研究費の範囲について見直しが行われました。
今回は、研究開発税制の見直しについてお伝えします。
1.総額型の税額控除率
以前は、恒久措置として(1)総額型と(2)オープンイノベーション型、上乗せ措置として(3)増加型と(4)高水準型がありました。
平成29年4月以降、(1)総額型について、下記のとおり改正されました。また(2)オープンイノベーション型は、手続きの簡素化等がなされました。(3)増加型は廃止されましたが、(4)高水準型については適用期限が平成30年度末まで延長されています。
改正前 | 改正後 | ||
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大企業 | 中小法人 | ||
税額控除率 | 試験研究費割合(※1)に応じて8~10% | 増減試験研究費割合(※2)に応じて6~14% | 増減試験研究費割合に応じて12~17% |
控除限度額 | 法人税額の25% | 同左 試験研究費割合が10%超の場合、0~10%上乗せ |
同左 増減試験研究費割合が5%超の場合、10%上乗せ |
※1 試験研究費 ÷ 売上高
※2(試験研究費 - 前3事業年度の試験研究費の平均)÷ 前3事業年度の試験研究費の平均
2.試験研究費の範囲の見直し
現行の範囲は「製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のために要する費用」とされていました。
改正では、IoT、ビッグデータ、人工知能等を活用した第4次産業革命による新たなビジネスの創出を後押しする観点から「対価を得て提供する新たなサービスの開発にかかる試験研究費」が追加されました。
「サービスの開発」は、以下の4工程すべてを行う必要があります。
(1)データの収集 | センサー等を活用して、自動的に種々様々なデータを収集 |
---|---|
(2)データの分析 | 収集したデータを、専門家がAI等の情報解析技術によって分析 |
(3)サービスの設計 | データの分析によって発見された一定の法則性を利用した新たなサービスを設計 |
(4)サービスの適用 | 新たなサービスの再現性を確認 |
今までの研究開発税制は製造業が中心でしたが、適用対象が広がることになりました。自社の試験研究費について適用できるかどうか、検討されてはいかがでしょうか。
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(文責-久保田一成)
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