所得拡大促進税制の見直し(中小企業編)
平成30年度税制改正大綱では、賃上げや設備投資を後押しする観点から、「所得拡大促進税制」についての改正が盛り込まれています。今回のFAX NEWSは、この改正の内容をお伝えします。
【改正の内容】
所得拡大促進税制は、下表の要件を満たす一定以上の賃上げをした場合、増加額の一定割合を法人税額から控除できる制度ですが、以下の項目について改正される予定です。
(1)給与に関する要件の簡素化
・基準年度(平成24年度)からの増額要件が廃止
・平均給与を計算する際の継続雇用者の範囲を、当期及び前期の全期間に給与の支給がある雇用者とする
(2)税額控除額の計算の基礎となる増加給与総額を、平成24年度からの増加給与ではなく、前期からの増加給与とする(現行制度に比べ、控除税額が減少する可能性あり)
(3)税額控除割合の拡大(一定の要件を満たせば、控除割合が最大22%から25%へ)
(4)教育訓練費が一定以上増加した場合や、経営力向上計画の認定を受けた場合は、税額控除割合を上乗せ
(5)大企業向けの所得拡大促進税制との選択適用可
中小企業 | 大企業 | ||
---|---|---|---|
現行 | 改正案 | 改正案 | |
適 用 要 件 |
給与総額が平成24年度より3%以上増加 | 廃止 | 廃止 |
給与総額が前期以上 | 廃止 | 廃止 | |
1人あたり平均給与が前期より増加 | 1人あたり平均給与が前期より1.5%以上増加 | 1人あたり平均給与が前期より3%以上増加 | |
- | - | 国内設備投資額が減価償却費総額の90%以上 | |
控 除 税 額 |
1人あたり平均給与の前期比増加割合 (1)2%未満の場合 (給与総額-平成24年度給与総額)×10% (2)2%以上の場合 (給与総額-平成24年度給与総額)×10%+(給与総額-前期給与総額)×12% |
(給与総額-前期給与総額)×15%※ ※(1)及び(2)の要件を満たす場合は25% (1)1人あたり平均給与が前期より2.5%以上増加 (2)次のいずれかの要件に該当 イ 教育訓練費が前期より10%以上増加 ロ 中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定及び向上の証明 |
(給与総額-前期給与総額)×15%※ ※教育訓練費が前期・前々期平均より20%以上増加した場合は20% |
控除限度額:法人税額×20% | 控除限度額:法人税額×20%(変更なし) | 控除限度額:法人税額×20% |
平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する事業年度について適用されます。
賃上げシミュレーションや経営力向上計画の認定を受ける等、事前準備をしておくとよいですね。
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(文責-久保田 一成)
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