民法改正案(相続法)

投稿日2018.06.18

高齢化が進むなか、残された配偶者の生活を確保すること等を目的とした、相続等に関する民法の改正法案(「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案」)が、平成30年3月13日、閣議決定されました。今回は、この改正法案の概要をお伝えします。

1.配偶者居住権の創設

自宅の権利を「所有権」と「配偶者居住権」に分け、配偶者が居住権を取得すれば、他の相続人が所有権を取得したとしても、配偶者は自宅に住み続けることができるようになります。

居住権の評価額は平均余命等を基に算出され、現行法で所有権を取得するよりも低額となるので、自宅に住み続けることができるうえ、生活資金の確保もできることになります。

例)
 相続人:配偶者と子1人(法定相続分は各1/2)。
 相続財産:自宅5,000万円、預金5,000万円

(現行法)
 配偶者・・・自宅所有権5,000万円、子・・・預金5,000万円

(改正案)
 配偶者・・・自宅居住権2,000万円+預金3,000万円
 子・・・自宅所有権3,000万円+預金2,000万円

2.遺産分割の見直し

(1)婚姻期間が20年以上の夫婦が配偶者から遺言または生前贈与で譲り受けた居住用不動産は、現行法では遺産分割の対象とされていますが、改正案では対象から除外されます。

(2)現在は遺産分割協議が成立するまでは預貯金を引出すことができませんが、預貯金残高×1/3×法定相続分までは、他の相続人の合意がなくてもできるようになります。

3.遺言制度の見直し

自筆証書遺言書は全文自書しなければなりませんが、財産目録を添付する場合には、その目録はパソコン等で作成することができるようになります。

4.遺留分制度の見直し

現行法では遺留分(法定相続人に認められる最低限の遺産取得分)の基礎財産に含める贈与の期間制限がないため、何年前の贈与でも基礎財産に含めなければなりませんが、改正案では相続開始前10年間の贈与に限定されます。

これによって、これまで遺留分の侵害が弊害となって後継者に自社株式を贈与できなかった場合も、贈与後10年を経過すれば遺留分の問題はなくなります。

5.特別の寄与

被相続人である義父の介護をした息子の嫁等、被相続人に特別の寄与をした一定の親族は、相続人に対して寄与に応じた金銭の支払いを請求することができるようになります。

この改正は、今国会で審議され成立すれば、原則、法律の公布日から1年以内に施行されます。
相続対策を既に検討されている方にも影響する項目が含まれています。これから検討する方も含め、改正の動向に注意が必要です。当法人でも相続に関するご相談をお受けしておりますので、お気軽にご連絡ください。

お問い合わせは当ホームページの無料相談コーナーからどうぞ。

(文責-久保田 一成)

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