収益認識会計基準と税法の対応
平成30年3月、企業会計基準委員会(ASBJ)は「収益認識に関する会計基準」を公表しました。これを受けて、法人税法では収益に関する定めとして法人税法22条を拡充する形で法人税法22条の2を創設、また、従来の処理との整合性を保つため関連する法人税基本通達を大幅に改正しました。
今回は、この収益認識会計基準と法人税法の対応の基本的な考え方についてお伝えします。
1.収益認識会計基準
基本となる原則は「約束した財またはサービスの顧客への移転を当該財またはサービスと交換に企業が権利を得ると見込む対価の額で描写するように収益を認識する」というものです。
従来の実現主義から顧客への支配の移転に着目して収益を認識することになるため、収益の認識時期や金額に影響が出る可能性があります。
具体的には下記の5ステップで収益を認識します。
ステップ1:顧客との契約を識別
ステップ2:契約における履行義務を識別
ステップ3:取引価格を算定
ステップ4:取引価格を履行義務に配分
ステップ5:履行義務の充足につれて収益を認識
要するに収益の基となる契約を形式ではなく実態に合わせて内容を細分化して金額に置き換え個々に収益認識をするというものです。
適用は2021年4月1日以後開始事業年度からですが早期適用が可能です。
また、中小企業については引き続き従来の会計処理も可能です。
2.法人税法の対応
基本的に法人税法22条4項の定めにより「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」に従った会計処理を容認することとなっています。
したがって、この収益認識会計基準も含めて容認されるのですが、一方で法人税法では実現主義、権利確定主義の考え方をとっているため過度に保守的な処理や恣意的な見積もりを排除する必要があり、これに対応するために税独自の取り扱いを定めることとしました。
具体的には割賦販売、売上リベート、製品保証、自社ポイントなどで調整が図られています。
今回の収益認識基準と税法の対応については、特に中小企業についての実質的な影響は少ないかもしれません。しかし、法人税法22条という根幹となる条文を補充する形で法改正がなされ、この対応のために大幅な基本通達の改正新設がなされており、中小企業といえどもこのバックグラウンドの知識なしでは条文や通達を読み間違えてしまいます。
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