「所有者不明土地特措法」成立
「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案」が今年6月に可決、成立しました。
今回は、その概要をご紹介します。
所有者不明土地とは、不動産登記簿等の公簿情報等により調査してもなお所有者が判明しない、又は判明しても連絡がつかない土地をいいます。
国土交通省等が発表している資料によりますと、平成28年度の調査では、不動産登記簿上で所有者の所在が確認できない土地が、概ね20%程度、面積では約410ha程度あるとのことです。
このような所有者不明土地は、昔からあったものですが、東日本大震災後にクローズアップされました。震災後、高台のまとまった未開発の土地を開発しようとした場合に、何代にも渡って相続登記がなされていない土地が含まれていると、所有者を特定するための多大な費用と時間がかかってしまい、迅速かつ円滑な開発事業の実施に支障が生じたのです。
このような事態を避けるため、今回の特別措置法案は成立しました。
その概要は以下の通りです(詳細につきましては国交省のホームページ:http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo02_hh_000106.htmlをご覧ください)。
1.所有者不明土地を円滑に利用する仕組み
建物等が存在せず、現に利用されていない所有者が不明な土地で、反対する権利者がいないものについては、都道府県知事の裁定(判断)により、地域住民の利便の増進を図るための公園、広場の整備等に関する公共的事業を実施するため、上限10年間の使用権の設定が可能となります。従来の土地収用法による手続きが、合理化・迅速化されました。
2.所有者の探索(調査)を合理化する仕組み
土地の所有者を調査するために必要な公的情報(固定資産課税台帳等)について、行政機 関が利用できるようになります。また、土地の登記名義人が死亡した後に長期間にわたり相続登記がなされていない土地については、登記名義人となりうる者を調査した上、登記官(法務局)が職権で、「登記名義人の死亡後長期間にわたり相続登記等がなされていない土地である」旨等を登記に付記(記録)できるようになります。
3.所有者不明土地を適切に管理する仕組み
所有者不明土地を適切に管理するために、地方公共団体の長が、家庭裁判所に対し、財産管理について必要な処分の命令や、相続財産の管理人の選任を請求できるようなります。
今回の特措法の成立により既存の所有者不明土地への当面の対応は図られますが、今後、相続の増加が見込まれるなか、所有者不明土地の発生を抜本的に防ぐ制度の検討及び導入が期待されます。
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(文責-久保田一成・林 達郎)
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