「節税保険」の取扱いの改正
国税庁は、法人税の節税効果を強調した、いわゆる「節税保険」について、その節税効果を規制するため法人税基本通達の改正を公表しました。今回は、その内容についてお伝えします。
「節税保険」とは
主に中小企業向けの、経営者を被保険者とする法人契約の保険で、月々の保険料が経費になるため法人税を抑えられる点や、途中解約による返戻金を役員退職金に充てられることがセールスポイントとなっていた保険商品です。そうした保険本来の趣旨にそぐわない節税に歯止めをかけるため、取扱いが改正となりました。
主な改正内容(法人税基本通達9-3-5の2)
改正により、当期支払分の保険料の取扱いについて、以下のように最高解約返戻率が高いほど、保険期間当初の保険料の損金算入が制限されることになりました。
【支払保険料の損金計上額の取扱い】
最高解約 返戻率 |
保険期間の 前半40%の期間 |
40%から 75%の期間 |
75%から 保険期間終了まで |
---|---|---|---|
50%以下 | 全額損金 | ||
50%超 70%以下 |
60%損金 40%資産計上 |
全額損金 | 全額損金 + 資産計上額を取崩期間に応じて損金算入 |
70%超 85%以下 |
40%損金 60%資産計上 |
全額損金 | 同上 |
85%超 | ・最高解約返戻率になるまでの期間 損金計上額:当期分保険料 -(当期分保険料×最高解約返戻率×90%(10年経過日まで)又は70%) ・最高解約返戻率経過後の期間 損金計上額:当期分保険料 + 資産計上額の取崩期間に応じた金額 |
※ 解約返戻金がない短期払いの保険で、保険料が年30万円以下であれば全額損金。
適用時期
下記を除く定期保険又は第三分野保険(医療、介護保険等)の保険料 | 令和元年7月8日以後の契約分から適用 |
---|---|
解約返戻金のない短期払いの定期保険又は第三分野保険の保険料 | 令和元年10月8日以後の契約分から適用 |
上記の日より前に契約している保険については、改正前の取扱いになります。
まとめ
今回の改正により、保険加入の検討の際は、経営者に万が一の事態が起きた時の保障という保険本来の趣旨に立ち返って考えてみることになりそうです。会社の状況も日々変わっていきますから、会社の保険を見直す機会にしてみてはいかがでしょうか。
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