所有者不明土地問題

投稿日2021.07.08

平成29年国交省調査によると、所有者不明土地の割合は全国で22%あり、高齢化の進展による死亡者数の増加等により今後ますます深刻化するおそれがあります。

そこで今回は、令和3年4月21日に成立した「民法等の一部を改正する法律」、「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」に関する所有者不明土地対策法の概要についてお伝えします。

所有者不明土地問題の背景

所有者不明土地とは、不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地、所有者が判明してもその所在が不明で連絡が付かない土地をいいます。

これらが増加した背景には、相続や住所変更等による登記の申請が義務化されてないことにより、土地利用ニーズが低下した地方を中心に、遺産分割をしないまま放置されてきたこと等が挙げられます。

所有者不明土地対策法のポイント

所有者不明土地の発生予防、利活用を円滑させることを目的とした「民法等の一部を改正する法律」、「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」のポイントは以下のとおりです。

(1)不動産登記法の改正・・・不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることを義務付けられました。

(2)相続土地国庫帰属制度の創設・・・相続を契機として、望まない土地を取得した所有者が、10年分の土地管理費相当額を納付するなど一定の要件を満たすことにより、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とした制度が創設されました。

(3)民法の規律の見直し・・・所有者不明土地の管理に特化した新たな財産管理制度の創設や、相続開始から10年を経過したときに、画一的な法定相続分で遺産分割を行う仕組みの創設等、所有者不明土地の利用円滑化が図られています。

まとめ

法改正によりこれまで公共事業や復旧・復興事業が円滑に進まず、土地の利活用が阻害されてきたことや、管理不全による隣接土地への悪影響が改善されることが期待されます。

なお、施行日は原則として令和3年4月28日の公布後2年以内、相続登記義務化は公布後3年以内の予定です。 

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