借地の推移と相続対策
近頃は借地を相続したばかりの相続人から借地に関する相談を受けることが徐々に多くなっています。「父親から借地を相続したが突然地主から地代の値上げを要求され困っている」、「契約書が見当たらない」、「更新料を支払う必要があるのか、過去に支払ったのかその経緯も分からない」、「地主と会ったことが一度もない」・・等々。
そのような相談が多くなっている理由は、地主とのやり取りは借地人である被相続人だけが行っており、相続人が関与していない場合が多いからではないでしょうか。
そこで、今回は、「借地の推移と相続対策」についてお知らせします。
1.借地の推移
総務省統計局「住宅・土地統計調査(5年毎)」によれば借地の推移は以下の通りです。
年度 | 一般の借地権 | 定期借地権等 |
---|---|---|
平成10年 | 180万世帯(4.1%) | 31万世帯(0.1%) |
平成15年 | 157万世帯(3.4%) | 14万世帯(0.3%) |
平成20年 | 112万世帯(2.4%) | 12万世帯(0.2%) |
平成25年 | 103万世帯(2.0%) | 13万世帯(0.3%) |
※表中の括弧は所有地と比較した場合の割合です。
上表の「一般の借地権」は減少傾向にありますが、期間満了による借地契約終了や底地・借地の売買による併合等での借地権の消滅が原因にあると思われます。
借地は人口増加による土地不足や、所有地に比し低廉な地代で土地を使用できる利点があることから従来は相応の需要が見受けられましたが、人口減少等による需要の減退から「一般の借地権」は今後も減少していくものと推測されます。
一方、「定期借地権(契約期間の更新がない借地権)」は最近は概ね横ばいの状況にあります
2.相続対策
上表の通り全体的に借地は減少していくものと思われますが、冒頭のような相談が今後は増加していくことが懸念されます。
世間では相続税を如何に少なくするかといった節税目的の相続対策が偏重される傾向にあり、契約内容や過去の契約の経緯といったソフト面での相続対策が軽視されているように思えます。
具体的には、借地関係にある被相続人は、将来的に相続人に争いが生じないように、地代に争いが生じる可能性があれば解消するように努め、契約書がなければ改めて作成し、過去の契約の経緯を事前に相続人に書面で残すなどの相続対策が必要ではないかと思います。
場合によっては、借地契約の当事者である地主と将来的に借地人となる相続人との顔合わせも必要かもしれません。相続が争族にならないように「相続人を想う」想続であってほしいと思います。
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(文責-横須賀博・石川輝)
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