所得拡大促進税制の拡充
平成29年度税制改正大綱における個人所得課税の改正の概要については、先般(YF-00772)お伝えした通りですが、法人課税についても様々な改正の発表がありました。
今回は、法人課税の改正の中でも、中小企業に対し影響が見込まれる「所得拡大促進税制」の改正点についてお伝えします。
1.所得拡大促進税制の改正点
所得拡大促進税制は、従業員の賃金を増加させた場合で、下記の要件(1)~(3)を全て満たした時には、増加額の一定割合を法人税額から控除できる制度です。平成29年度税制改正では、現行制度より2%多い賃上げを行った中小企業は、さらに12%上乗せして税額控除ができるようになりました。
現行制度 | 改正案 | |||
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要件 (1) |
1人当たりの平均給与が前事業年度よりも増加 | 中小企業者等(資本金1億円以下) | a、bのいずれかに該当 a.1人当たりの平均給与が前事業年度よりも2%以上増加 b.1人当たりの平均給与が前事業年度よりも2%未満の増加 |
|
中小企業者等以外 | 1人当たりの平均給与が前事業年度よりも2%以上増加 | |||
要件 (2) |
給与の総額が前事業年度以上 | 全法人 | 改正なし | |
要件 (3) |
給与の総額が平成24年度(※1)よりも一定の割合増加 | 全法人 | 改正なし | |
控除税額 ※2 |
給与の総額のうち、平成24年度よりも増加した分×10% | 中小企業者等 | 上記要件(1)-aに該当 | 給与の総額のうち平成24年度よりも増加した分×10%4 +給与の総額のうち前事業年度よりも増加した分×12% |
上記要件(2)-bに該当 | 給与の総額のうち平成24年度よりも増加した分×10% +給与の総額のうち前事業年度よりも増加した分×2% |
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中小企業者等以外 | 給与の総額のうち平成24年度よりも増加した分×10%+給与総額のうち前事業年度よりも増加した分×2% |
※1 平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち、最も古い事業年度の直前の事業年度
※2 法人税額の20%(中小企業者等以外の法人は10%)が上限。
対象となるのは、役員と役員の親族を除く国内の従業員(パート、アルバイトを含む)に支払う給与で、賞与や通勤費等の手当を含みます。
2.適用時期
平成29年4月1日以後に開始する事業年度より適用となる予定です。
今後、国会での審議を経て、施行となります。変更される可能性もありますので、ご留意ください。
お問い合わせは当ホームページの無料税務相談コーナーからどうぞ。
(文責-久保田 勝一)
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