消費税の基礎知識
一(いち)消費者としては品物を購入する際、8%の消費税を品物代金と一緒に支払うだけで終わっていましたが、事業者側となると簡単ではありません。
それは、品物を購入する際に支払う消費税と、商品を売上げる際に受取る消費税が発生するからです。そこで消費税の知識が必要になってきます。
第一に、消費税の知識がないと正確な経理ができません。正確な経理が出来ないということは、事業者として正確な消費税の納付が出来ないことにつながります。
第二に、納付すべき消費税を計算するには選択すべきことがいろいろあり、それによって納付する消費税が違ってくるということです。
ここでは起業家に必要な消費税のアウトラインを説明致します。
免税事業者とするか、課税事業者を選択するか?
新規開業した個人事業者又は新規に設立した法人の消費税の取扱いは次のようになります。
ポイント | 解説 | |
---|---|---|
(1) | 開業又は設立した年 | 基準期間(※1)の課税売上がないため納税義務はありません。但し資本金が1,000万円以上の新設法人は、特例として納税義務があります。 |
(2) | 開業又は設立した年の翌年 | 基準期間の課税売上はありませんが、特定期間(※2)の課税売上、又はこの期間の給与支払額の合計額が1,000万円を超えた場合は、納税義務があります。 |
(3) | 上記(1)(2)の期間において納税義務が免除される場合 | 設備等への支出が多い場合、「課税事業者選択届出書」を適用しようとする年の(法人は事業年度)開始の日の前日(新規開業の個人事業者は12月31日、新規設立の法人は期末)までに提出すれば、消費税が還付される場合があります(※3)。 いったん課税事業者を選択すると2年間の継続適用が強制されるので注意が必要です。 |
(4) | (2)の翌年以降 | 基準期間の課税売上若しくは特定期間における課税売上又は給与支払額の合計額が1,000万円以下の時は原則として、納税義務はありません。但しこの場合も(3)と同様「課税事業者選択届出書」を提出することができます。 一方基準期間の課税売上若しくは特定期間における課税売上又は給与支払額の合計額が1,000万円を超える時は、納税義務があります。 |
(※1)
基準期間とは、個人はその年の2年前、法人は2年前の事業年度になります。
ただし、法人の2年前の事業年度が1年未満の場合は、2年前から1年以内に開始した事業年度をあわせた期間となります。
(※2)
特定期間とは、個人はその年の前年の1月1日から6月30日までの期間、法人はその事業年度の前事業年度の期首から6ヶ月の期間をいいます。
ただし、法人の前事業年度が1年未満の場合は、その事業年度の月数により算出した一定の期間となります。
(※3)
「課税事業者選択届出書」を提出し、課税事業者となった日から2年以内の課税期間において設備等への課税仕入を行い、一般課税により確定申告を行う場合は、原則として課税仕入の日から3年間は免税事業者となること及び簡易課税制度を選択することは出来ませんので注意が必要です。(横須賀G通信 YF-00748)
原則課税か、簡易課税か?
基準期間の課税売上が5千万円超のときは原則課税、5千万円以下のときは原則課税と簡易課税の選択適用となります。
選択のポイント | 解説 | |
---|---|---|
(1) | 簡易課税制度の適用要件 | 適用しようとする年(法人にあっては事業年度開始の日)の前日(新規開業の個人事業者は12月31日、新規設立の法人は期末)までに「簡易課税選択届出書」を提出しなければなりません。 一度簡易課税を選択すると2年間の継続適用が強制されます。 |
(2) | (1)を踏まえ | 基準期間の課税売上高が5千万円以下のときは、事業計画等を基に簡易課税制度の適用を検討すべきです。 |
(3) | 簡易課税による消費税額 | 簡易課税制度は中小事業者の事務負担の軽減のために設けられた制度です。課税売上高に対して業種毎のみなし仕入率で消費税を算出します。 |
(4) | 簡易課税制度選択のポイント | 基準期間の課税売上高が5千万円以下のとき、原則課税を選択するか簡易課税を選択するかのポイントは、営む業務の課税仕入の比率が(3)のみなし仕入率に比し高いか、低いかによります。高ければ原則課税を、低ければ簡易課税を選択したほうが一般的には有利です。 |
[平成28年4月1日現在法令等]
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