外国人による不動産取得
日本の観光業分野は成長目覚ましく、訪日外国人観光客は年々増加しています。それに伴い、居住先として日本を選択する外国人も増えているようです。
法務省出入国在留管理庁によれば、令和7年末時点で日本に住む外国人の数(中長期在留者、特別永住者の合計)は412万人を超え、過去最高を記録しました。
外国人が移住し、働き、税金を納めることは、人口減少が進む日本にとって歓迎すべき側面があります。一方で、防衛施設周辺の土地取得や森林・水源地の保全など、不動産所有を巡る課題も指摘されています。
今回の横須賀G通信では、外国人による不動産取得の現状と、その背景にある制度上の課題について見ていきたいと思います。
現状と問題点
2000年代後半から外国人や外国資本による不動産取得が増加し、安全保障上の懸念が浮上してきました。近年では北海道のニセコや富良野で外国資本による不動産購入が相次いで行われ、ホテルやコンドミニアムが建設されており、沖縄では中国人が無人島を購入したことが当時大きな話題となりました。
しかし実は、現状は外国人がどれだけ日本の土地を所有しているのか、日本政府は完全には把握しきれていないという事実があるのです。また、それとともに「外国人がどれだけ持っているか」、よりも「どこを、何の目的で持っているか」、という問題も浮き彫りになってきたのです。
日本の規制の状況
日本は先進国の中でもきわめて珍しく、外国人による土地・建物の所有を原則自由としている国です。現在施行されている法律からも、日本は取得規制というよりも調査や監視が中心となっていることがうかがえます。
例えば2022年9月20日に施行された「重要土地等調査法」は、防衛関連施設や原子力発電所、国境離島等、機能が特に重要なものに関して政府が所有者調査、利用実態調査、勧告等を行える内容となっていますが、取得そのものを制限するものではありません。
また、2025年4月には外国人が日本の農地を取得する際は農業委員会に国籍を報告するよう義務付けられ、さらに在留資格の期間を審査することで外国人が取得する際の要件を厳しくしましたが、これは土地取得を制限してはいるものの、禁止とまではしていないため「規制が弱い」といった意見もあります。
諸外国の規制の状況
海外では日本以上に規制の厳しい国がいくつかあります。例えば、カナダやオーストラリア、シンガポールでは、外国人による住宅の購入を原則禁止としています。
また、英国では国家安全保障上の脅威となる恐れがあると判断される不動産の取引を審査しており、フランスは公共目的のため不動産の利用を制限しており、イタリアでは防衛施設等周辺の所有権及び事業の権利を制限することができる、といった規制や制限が設けられています。
東南アジアでもフィリピン、タイ、カンボジア、インドネシアなど、多くの国で外国人の不動産取得には厳しい規制や制限が設けられていて、中には一部禁止としている国もあります。
まとめ
現状は、外国人がどれだけの土地を、どういう目的で持っているか(購入しようとしているか)という問題に、初めて国が体系的に答えを出そうとしている過渡期のようです。最近では国籍情報の把握や不動産所有者データベース(「不動産ベース・レジストリ」2027年度以降に運用予定)などの整備が進められており、実態の把握と規制に向けた取り組みが進みつつあります。
円安の日本の不動産市場は外国人にどのように映っているのでしょうか。今の実態と法整備を正しく理解しつつ、今後の政策の動向に注目していきたいところです。
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